第77話 復活
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くないよ」
これでおしまい......実験が終われば私は、研究者として順当に出世が出来、生徒達はそれぞれ別の道を歩みだす......はずだった。
突如として流れる警告音
異常を知らせるモニターの画面。
忙しなく動き回る研究員達。
「ドーパミン値低下中!」
「抗コリン剤投与しても効果ありません!」
「広範囲熱傷による低容量性ショックが......」
「乳酸リンゲル液輸液急げ!!」
「無理です!これ以上は......」
木山はモニター室で恐ろしく自分の想定とは離れた現実の実験にただ立ち尽くすしかなかった。
どこでミスをしたのか
どこが間違っていたのか
渡された実験内容を頭の中で諳んじて確認するが間違いを疑う箇所は見当たらない。
安全な実験のはず
事故なんて起きない
センセーの事信じてるもん
怖くないよ
その言葉の残酷をその身に受け、罪の刻印を身体に刻み込まれた気がした。
もう、取り返しがつかない
どうすることもできない
どうにもできない
あの子達を使い捨てのモルモットにしてね
24回
あの子達の恢復手段を探るため、そして事故の原因を究明するシミュレーションを行うために『樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)』の使用を申請して却下された数と抗った数を足し合わせた回数だ
あんな悲劇二度と繰り返させはしない
この街の全てを敵に回しても止まる訳にはいかないんだっ!!!
教師として何もかもが未熟だった私を慕って付いて来てくれたあの子達の為に......
だって木山センセーの実験なんでしょ?
センセーの事信じてるもん
怖くないよ
「!?」
木山は薄暗い教室の真ん中に倒れていた。
頭が酷く痛み、身体が妙に怠いがそれ以外に外傷はなく頭を摩りながら木山は起き上がる。
「ここは?」
脚が欠けた教卓に黒板にはうっすら埃が被っているがたくさんの足し算引き算、歴史の用語......そして奥に木山春生と書いてあるのが読み取れた。
「......あの子達の教室か」
今日から君達の担任になった木山春生だ
よろしく
よろしくお願いしまーす
2年前に紛れもなく自分は教師としてここに立っていて、あの子達は生徒として座っていた場所だ。
木山は小さくなった埃だらけのチョークを取り出すとグッと握り締めた。
「お久しぶりです。木山先生」
「!?」
木山の背後から女性の声が聴こえてきて振り返るとカチューシャを身に付けたソバカスだらけの少女が立っていた。
「き、君は!無事だったんだな」
それはかつて木山の生徒であり、最も思い入れのある生徒の少女だった。
木山は思わず近付いて抱き締めようとするが、少女の純白の制服の袖から黒い棒を伸ばすと真っ直ぐ木山の喉元に
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