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吸血姫はアホ可愛い!・ω・`)
50話「ロリへの愛は世界を救うか??〜苦しみの魔王D〜」
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通常、魔法は――魔族相手には何の意味もない。
発動させるために詠唱する必要があるから、銃と違って速射性に劣るのだ。空間転移されたら、その時点で、ほとんどの魔法は効果を及ぼせなくなる。

「愚か者に終幕を……」

だが、この殺戮の魔王の力を使った魔法は、例外中の例外だ。空間転移で逃げる標的だろうと関係ない。
詠唱開始時点で、俺が視認できる範囲内に魔王はいた。奴が宇宙の果てに逃げても効果は及ぶ――理論上は。
だから、俺は最後まで詠唱を続ければいい。この異常でどういう運命を己に齎すのかも分からない魔法を唱え続ければいいのだ。

「家畜どもがぁぁぁぁぁー!僕の邪魔をするなぁぁぁぁぁ!」

苦しみの魔王が叫んだ。アメリカの軍人さん達は、半分ほどが魂を破壊され、無へと還っている。
その状況で魔王が発動した魔法は――精神破壊波の広範囲攻撃バージョンだ。魂を害する光が音もなく放たれ、広い地下室が真っ白に染まっていく。
米軍の兵士は、これで全滅した。間違いない。本来なら俺も死んでいたのだ。
今……俺の前に――白が立っている。小さな身体を大きく広げ、魔氷剣で大きな氷の盾を作り出し――魂の半分以上が損壊していた。
これでは助からない。魂をボロボロにされて辛いはずなのに、白は、振り返って俺に天使のような微笑みを見せてくる。

「お師様……僕の事……忘れないでくださいね……この悪党に……勝って……くだ……さい……」

言い終えると、魂が壊された白の肉体は床に倒れた。
俺はこの悲しみと怒りで、頭が壊れそうだ。もう、白が俺に甘えて、一緒に風呂に入ったり、ベッドの中で慰めてあげたり、そういう嬉し恥ずかしい時間を過ごす事はない。
そう思うと、大きな喪失感を感じて身体が重くなった。危うく詠唱をやめてしまいそうになるくらい、俺の精神が悲鳴をあげている。
だが、ここで詠唱をやめたら、彼女の死は意味がないものになってしまう。俺は死んだ白のために、最後の最後まで戦い抜く義務があるのだ。苦しみの魔王とかいう糞野郎をぶち殺してやらないと、白の死に俺は納得できない。そんな気がする。

「ブラドぉぉぉ!同化されろぉぉぉ!!僕の中で暴れるなぁぁぁぁぁ!お前の孫娘は死んだぞぉぉぉ!!諦めろぉぉぉぉ!心をへし折って食べてやるぅぅぅぅぅ!美味いぃぃぃぃぃ!お前の魂はうまいぃぃぃぃ!」

米軍は全滅したかのように見えた。だが、それは俺の錯覚だった。
精神破壊波(マインド・クラッシャー)の光を吸収できる黒い霧を出し、生き残った数人の兵士が銃撃と魔法を、魔王に浴びせている。
魔王は空間転移で逃げられない。ブラドさんが中で暴れている間は、魔力の盾を作って防御するしかないのだ。

「その呪文は……なんだっ!その異常な内容は!?あの方の力を引き出せる訳がないぃぃ!

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