第00話 その名はガンダム
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PD,323年
地球経済圏の一つ、アーヴラウの代表が選出される会議に於いて、世界を外側から監視することを目的とする国際公的機関、ギャラルホルンと火星の民間軍事会社、鉄華団が武力衝突した。
鉄華団との戦闘のさなか、ギャラルホルンは自らが禁じてきた人体改造によりマシンと人を結合させる禁断の技術、阿頼耶識を本格導入したモビルスーツ、グレイズアインを投入。
その漆黒のモビルスーツはあろうことか、市街へと踏み入りその都市機能を破壊した。
更に鉄華団が護衛する蒔苗東護ノ介が代表に選ばれ、対立する代表候補であったアンリ・フリュウとギャラルホルンの重鎮イズナリオ・ファリドとの癒着が判明。
ギャラルホルンは三つの禁忌を自らが破ったことで社会的信用を喪失。今までギャラルホルンに治安・国防を委任してきた各経済圏で自国防衛軍の発足が相次ぐこととなった。
―――これにより、ギャラルホルンは本拠点である地球圏の統治に必要とする軍事力の拡張を迫られ、火星支部を縮小することでその戦力を地球圏へと集中させることで対処した。
しかし、それにより火星を始めとする圏外圏の治安は悪化。各地で厄災戦時代のモビルスーツのレストアと販売が一気に拡大、モビルスーツの稼働数は飛躍的に増大し武装勢力により略奪と紛争が散発するようになった。
皮肉にも、鉄華団が少年兵で構築された傭兵団であったために拉致された子供たちはゴミのような値段でヒューマンデブリと呼ばれ各地へ売りさばかれ少年兵として戦場へと投入されていった。
火星は、流血と錆びた鉄で埋め尽くされた鉄血の世界へと赤黒く染まっていった。
二年後、PD 325年 火星クリュッセ自治区――――
熱い、唇は妙にべたつくし色んなものが焼ける匂いが鼻孔にべったり粘りつく不快感。肌を焦がす熱は痛いほどだ―――だが、そんな些細なことは気にしていられない。
「アット!みんなどこだ!!」
走る、走る。全力でただ力の限り、火星の中でもあり触れたごみ溜め。スラム街、そこはたまったゴミを焼却するかのように轟々と業火が燃え盛っている。
だが其処にいるのはゴミではない、血が通った人間だ。ただそう生まれてしまっただけの貧困にあえでいる人間だ。
けれども、奴らにとってみればただの獲物。刈り取る存在でしかない。
「――――くっ」
半端に黒焦げた腕だけが瓦礫の下から伸びていたのを見た。見知った誰かのモノなのかもしれないがもう、わからない。
「アット!みんな―――!!」
何時も寝泊まりしている廃屋の戸を蹴り破る―――其処にあったのは血だまりと事切れた仲間たち。
もう、何も言わない躯になったみんながそこに居た。
「……
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