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フロンティアを駆け抜けて
融解する鋼の心
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、『サイコキネシス』で二人をフィールドの端へと連れていく。アルカはそれを見て嘲笑した。

「ふん……その程度距離を取ればスタペシアの花粉から逃れられると?」
「逃れるんじゃない……倒すんだよ。僕のメタグロスで」

 メタグロスが体と腕を合体させ、宙に浮かぶ。しかし毒で紫色に染まり、執拗に『棘キャノン』を受けた体はところどころ砕けていた。次に一回でも攻撃をするか受けるかすれば、毒が回り切って倒れてしまうだろう。

「はっ……既にあなたもメタグロスも毒に侵され、ドヒドイデの『ひとでなし』によって体もボロボロ。くたばり損ないに、何ができるっていうんですか!!」
「そう、だからこそ余力は残さなくていい……全てのエネルギーを、開放する! 『大爆発』だ!!」

 紫色になったメタグロスの体が、超高熱で真っ赤に染まる。限界を超えたエネルギーはメタグロスの体内に収まらず、体から光が漏れていく。アルカが慌てて、止めようとした。

「な…!?そんなことをすれば、メタグロスだけでなくラティアスもただでは済みませんよ!!」
「ジェム……ごめん」
「ううん、いいの。ただ、後でラティとメタグロスに……無茶させてごめんなさいを、二人でしましょう」
「ひゅうあん……」

 ダイバがジェムに一言謝り、ジェムはあっさりと受け入れた。ラティアスも頷いた。それは醜い愛欲や善意という名の哀れみ、目的のための利用しか受けてこなかったアルカとその周囲の人間には絶対にあり得ない信頼関係だった。

「嘘です……何故ですか! ジェムは親に貰ったポケモンを傷つけられるのを嫌がってたじゃないですか! あなたはジェムの事を何もわかってないやつだって言ってたじゃないですか! それなのになんで……なんでなんですかあああああああ!!」
「グオオオオオオオオオオッ!!」

 メタグロスが吼え、フィールドのほとんどを埋め尽くす大爆発が発生した。アルカとそのポケモン達は吹き飛ばされ、壁際に叩きつけられて意識を失う。撒き散らかされた花粉は全て焼けて燃えカスとなり毒性を失った。ラティアスもジェムたちの方に飛ばされ意識を失っており、爆心地のメタグロスは真っ黒な灰のように微動だにしなくなったが、ともかくこれでダイバとジェムの勝ちだ。とはいえ、既に体に入り込んだ毒はどうにもならない。今にも意識は途切れそうだ。

「どうしよう……これじゃ、進めない」
「ガルーラ……僕らを、回復装置へ」
「ルラッ!!」

ダイバが力を振り絞りボールからガルーラを出す。ガルーラは急いでジェムとダイバを小脇に抱え、ポケモンを回復させる装置まで運んだ。

「ジェム……ラティアスをすぐ回復させて、それで『癒しの波動』と……『リフ、レッシュ』を……」
「ダイバ君!?」
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