融解する鋼の心
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え出来なくなって倒れる。床はやたらと冷たく感じられた。自分の体が震えているのを、ダイバは感じる。
「ラティ、『癒しの波動』でメタグロスとダイバ君を治してあげて!」
「ひゅうあん……!?」
ラティアスが銀色の優しい波動で仲間を回復しようとする。だが何も起こらなかった。気づかぬうちにかけられた『挑発』がラティアスから攻撃以外の選択肢を奪っている。
「これであなたたちは回復も防御も出来ません! さあ出てきなさい、寄り付く者を鬼の心で欺く醜い巨大花……スタペシア!!」
「ラァ〜!!」
ボールから出てくるのは、ジェムが今まで見てきたどんなポケモンよりも巨大な赤い花。まるできのこのように細い体の上に、人が何人も乗れそうなほどの花が咲いている。それは異常な刺激臭を放ち、花粉をばら撒き始める。花粉が眼に見え、砂嵐かと思うほどだった。『神秘の守り』を失ったジェムとダイバ、ラティアスがそれを吸い込み毒や麻痺、眠気に襲われる。様々な妨害に耐え飛行していたラティアスが、ついに地面に落ちる。
「そん、な……私が足を引っ張っちゃった、せいで……」
「ふふふ……その通りなのですよ。あなたがわたしをただの敵だと思っていれば、この男もわたしの言葉に騙されなかったでしょう。ドラコと戦った時もあなたが何か言ったことでこの男に影響を与えたようですが……そのおかげで、わたしと話をしてくれましたよ。まるで蝶を追いかける子供みたいに! 全部ジェム、あなたが招いた結果なんです! あなたの言葉は、人を苦しめるだけなんですよ!」
「私の、せい……私が助けたいなんて言ったから……?」
生気を搾り取られ、メロメロの効果で心を操作され、更に毒花粉を受けたことでさすがに精神が摩耗しているのか、自分を責めるジェムにすかさずアルカがバトルを始めた時のような苛立ちをぶつける。そこにダイバと喋っていた時のような心の揺れはほとんどなかった。やっぱり全部、演技だったのだ。ダイバはそう感じ、毒に侵され紫色になった唇を思い切り噛み、血を流すほどの痛みを与えることで意識を保ち喋る。
「……だ、まれ」
「何か言いましたか、既に風前の灯火の癖に」
「ダイバ君、わたし……あんなこと言っておいて、ひどいこと……」
ジェムは責任感が強い。『メロメロ』のせいとはいえドラコとの約束をいきなり破るようなことを言ったことを悔いているのだろう。ダイバも思うところはあるが、でも今はその問答をしているときではない。
「僕はあの時……あの時だけは、君の言葉を信じてもいいと思った。だから……『アレ』を使えメタグロス」
「あれ……?」
「ラティアス……僕とジェムを、フィールドの端へ」
「ひゅああん……!」
ラティアスが自分の体は横たえたまま
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