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フロンティアを駆け抜けて
融解する鋼の心
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だ赤かったが、彼女のオッドアイはダイバだけではなくラティアスや相手のアルカを見ていた。

「あれ? 私……なんで、泣いてるの?」
「元に戻った? ……ちょっと毒にやられてただけだよ。でももう、向こうに戦う気はなくなったみたいだし大丈夫……」

 ダイバがジェムの方を見て安堵の域を漏らす。それは、アルカ相手に絶対にしてはいけない油断だった。アルカの口元が、狂気的な弧を描く。

「くふっ……ふふふふふふふ。あははははははははははははっ!! 甘すぎなんですよ、どいつもこいつも! あなた達はもう終わりです!」
「なっ!?」
「えっ……!?」

 ダイバとジェムはあり得ないモノを見た。喉が壊れそうな声で笑うアルカではなく、メタグロスの体が濃紫色に染まっていき、ダイバの乗る腕も同様の色になっていくところだった。メタグロスは鋼タイプ。通常では毒タイプの技は一切受け付けず、毒状態にもならないはずだ。だがアルカが同情を誘う演技をしている間エンニュートはラティアスを『挑発』して『神秘の守り』を使えなくしていた。そしてエンニュートの特性は『腐食』。鋼タイプであろうと毒に染めることが出来る。アルカは口先で時間を稼ぎ、油断を誘い、エンニュートがメタグロスにやられながらも『どくどく』を使うほどの隙を作ったのだ。

「どんなに偉そうにしてても、恵まれてても、理想があっても、所詮人間なんて簡単に騙されるんですよ……さて、そこに乗っていていいんですか?」
「ちっ……!!」

 ダイバの足元に電気ショックでも流れたような痛みが走り慌てて飛び降りる。鉄の靴を履いていたとはいえ鋼を腐らせる毒には何の防御にもならない。着地したが足の踏ん張りがきかず、膝をついた。毒に侵されたのを、感じ取る。

「プランチ、『棘キャノン』です!」
「グオオッ!!」
「メタグロス……!」

 ドヒドイデの大きな棘がダイバに飛んでくる。メタグロスが咄嗟に庇うが、その鉄面皮の表面が砕けた。メタグロスの防御力を、綻ばせる。

「さらにプランチの特性は『ひとでなし』……アナフィラキシーショックのように、既に毒状態の相手を攻撃した時、ダメージを倍にします。ドヒドイデの攻撃力は低いですが、毒に犯されるあなたにはこれで十分なのです! 全く、面白いくらい真に受けてくれましたよねえ、わたしの気持ちなんてわからないくせに!!」
「全部……嘘だったのか」
「当然じゃないですか。ジェムの言葉が嬉しい? 女の子としてのわたしを見てくれた? そんな心、もうとっくの昔に消えましたよ。わたしは自分に同情する心を食い荒らす醜い女……ましてやジェムの言葉なんて、ただ子供に理想論を押し付けられて苛立つだけなのです!!」

 こうしている間にも毒は回り、座っていることさ
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