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フロンティアを駆け抜けて
融解する鋼の心
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でも構わず、アルカは独白を始める。

「わたしは物心ついた時には親もご飯を用意してくれる人も眠る場所もなくて……タマタマの中身を啜り、サニーゴの体を岩で砕いて飲み込んでなんとかお腹を満たして。少し大きくなってからは自分を辱める相手に嫌々媚びを売ってその日のご飯をもらい、同情してくる人がいれば甘さにつけ込んで金品を奪ってでも生きて。今自分を保護してくれた人が計画に必要な駒を揃えたかっただけで自分に容赦なく毒の力を振るわせる小悪党だったからこんな娯楽施設の破壊なんて何の興味もない事のために色んな人を傷つけて……それがどれだけ苦しかったと思ってるんですか! 誰も私を愛してくれなかったから、死にたくないからわたしは仕方なくこんなことを……! わたしだって、本当はこんなことしたくないです……!」

 アルカは涙ながらに訴える。それは涙ぐましい話だ。自分が生きるためには誰かを傷つけなければいけなかった。たとえそれが自分を哀れむ人であっても、気が変わらないうちにありったけのお金を奪わなければ生きていけないと思うほどアルカの心は傷ついていて誰も癒してはくれなかったのだと。

「でも、邪魔するなら関係ない。懺悔がしたいならジェムを元に戻して――」
「……最初会ったときにジェムは言ってくれたのです。わたしと、本当の友達になりたいって、アルカさんは本当はこんなことしたくないんだって。わたし、嬉しかったです……欲情でも同情でもない、女の子としてのわたしを見てくれて。……でもわたしには、あの人の命令がかかっているから。フロンティアの破壊に支障をきたす行動は禁止されていて……だから、ジェムの言葉を否定して。五月蠅いって耳をふさぐことしか出来ませんでした。私の意思でジェムを戻してあげるのは、無理です。あなたがリジアを倒さない限り、元には戻りません。……あなたの手で、ジェムを元に戻してあげてください」

 エンニュートとドヒドイデは、話している間攻撃しては来なかった。エンニュートが攻撃を受け入れるように両手を広げる。アルカもジェムに影響を受けていたという言葉に、それでも無理やりいうことを聞かされたと涙ながらに発する真に迫った様子に一瞬ダイバの思考がそちらへ向かう。……アルカという敵を倒すことから、淀む。ダイバはいまだにラティアスの上で泣き続けるジェムをちらりと見た後、メタグロスに命じる。

「……なら、この一撃でこんな茶番劇終わらせる! メタグロス、エンニュートに『思念の頭突き』!」
「グゴオオオォ!!」

 メタグロスの頭脳に念力が集まり、敵を砕く思念となる。抵抗しないエンニュートにまっすぐ突っ込み、エンニュートの細い体がくの字になって吹き飛んだ。仰向けに倒れ、意識を失う。アルカがボールに戻すと同時に、泣いていたジェムがはっと顔を上げる。顔はま
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