美保鎮守府NOW-Side B- PART7
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
巨大なエンジン音が唸りを上げる。大井親子の家に駐車されていたM-ATVが動き出したのだ。
「川内さん、援護するのです!」
屋根に備え付けられた機銃に取り付いていた電が叫ぶ。
「道を塞げ、敵を逃がすな!」
川内が応じるように叫ぶと、運転席に座る神通が頷き、道路の一方を塞ぐ。それと同時に機銃が火を噴いた。ドドドドドッ、と腹に響いてくるような重低音で弾薬が吐き出される。しかしあくまでもその射撃は牽制。川内に当てないように、しかし敵を逃がさないように。敵をこの場に張り付ける為の射撃。川内にはそれで十分だった。
絶妙に急所への斬撃は防いでくる相手。ならば手数で勝負だと懐に潜り込んで連続の斬撃を放つ。敵もそれに応じて刃と刃が凌ぎを削り、火花を散らす。
『やっばりだ……コイツ、多分“ワタシ”だ!』
斬り結ぶ嵐の中で、川内は確信めいた直感を感じ取る。敵は恐らく自分と同じ川内……いや、川内が轟沈して深海に堕ちた姿とでもいうべきか。しかし姫や鬼でも無いのに艦娘に似た特徴を宿した深海棲艦等、見た事も聞いた事も無い。
『何か弄られた娘なのかな……だとしたら、なるべく苦しめずに!』
ブルネイの部下からは鬼の警備班長と恐れられている川内だが、実の所面倒見がよく人情家だったりする。敵には容赦はしないが、相手を慮って戦ってしまう事がままある。今回も本人も自覚していない僅かな揺らぎが、相手を詰め切れていない理由なのだ。
美保提督の家の玄関が開き、バタバタと人が飛び出して来る。提督宅に泊まっていた武蔵に日向に羽黒。それに護衛の響と曙、そして刺客のターゲットであろう美保提督その人まで。
『なんで出てきちゃうかなぁ、もう!』
敵と斬り結びながら、軽率な美保提督に文句を付ける川内。指揮官であれば現場の状況を確認したくなる気持ちは解る。しかし今回のケースで言えば、提督が狙われているのだからわざわざ出てきたら的になりに来たような物だ。事実、美保提督の姿を認めた刺客の動きが変わる。
邪魔者である川内を排除してから屋内に侵入しようとしていたのだろう、積極的に川内と戦り合っていたのに、今はどうにか川内を引き剥がして美保提督の方に向かおうとしている。
「行かせるか……っての!」
斬撃の応酬の隙を見計らい、川内がボディブローを放つ。狙いは脇腹、手始めに忍者刀を突き立てた傷口目掛けて拳を打ち抜く。
「ガァッ……!」
呻きを上げながら身体をくの字に折った刺客の心臓に、忍者刀を突き立てる。左手で持って突き刺し、右手でだめ押しをするようにグッと押し込んだ。刃は深々と突き刺さり、間違いなく致命の一撃を与えただろう。ぐらりと身体が傾ぎ、そのままドサリと崩れ落ちる。
「あ、ありが…と……」
絶
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ