124部分:第十一話 武蔵の力その九
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流麗な顔に怪訝なものを浮かべてまた同志に言葉を返した。
「夜叉姫がおられる我等の本陣。そこに余所者が容易に近付くことなぞ」
「だからこそだ。戻れ」
同志の言葉はさらに鋭いものになってきた。
「姫様を御護りする為にな」
「姉上・・・・・・いや姫様をか」
「そうだ。わかったな」
「姫様に何かあっては我等夜叉の最大の恥辱」
主家である上杉家の末娘でありしかも夜叉の首領だ。その彼女に何かあっては夜叉にとって恥辱以外の何者でもないのは最早言うまでもないことなのだ。
「止むを得んか」
「この者を倒すことは何時でも出来る筈だ」
夜叉の者は小次郎を見据えて壬生に告げた。
「貴様の腕だとな」
「少なくとも勝負は何時でもできるか」
「そうだ」
彼はそのこともまた壬生に告げたのだった。
「だが姫様の危機はな」
「その通りだ。八将軍の復帰にもまだ少し時間がある」
従って今夜叉姫を護ることができるのは壬生だけなのだ。夜叉のこうした事情もまた壬生にはよくわかっていることだったのだ。忌まわしいことではあるが。
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