第76話 連れ去り
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そうこうしている間に彼女から電話が来た。
『木山先生!やはり海外サーバーをいくつか踏み台にして送られているようです』
「そうか......割り出しは出来そうかな?」
『この手のは時間が掛かりそうですね。やってみます』
かつて自殺を止めたジャッジメントの初春という少女。
ある意味計画を破綻させた元凶だが、今はチームメイトとして共に敵を追っている。
電話を切り終えると画像データをもう一度開く。
少しだけ大人になった教え子を見ながら一息入れた。
「もう少しだからな」
マウスポインタで画像を撫でるように動かしていく。せめてもの想いだ。
親に見捨てられ、学園都市に見捨てられたこの子達には自分しか守れる存在がいない。
「?」
彼女のカチューシャ部分にマウスが反応し木山は怪訝そうな顔をした。
前のめりの体勢になるとポインタの色が変わる部分を絞り込んでいく。
「隠しページか?」
呼吸を整えて一回だけクリックすると不気味な機械音の真っ暗な画面一杯に表示された移ろうように光ながら回転する万華鏡。
何が起きたか掴めない木山だがだんだんと目は虚になり力が入らなくなっている事に気が付いて椅子から倒れるようにパソコンから離れた。
「これは......」
前にサソリから喰らった写輪眼の幻術に近いものだ。
不協和音のような音楽は部屋中に響いていく。
頭痛が酷くなる
鮮明になる薬品の匂いが鼻をつく
背けたくなる血を混ざり合い嫌でもあの日を思い出していく
木山は力の入らない身体を引きずりながら携帯のリダイヤルを押した。
過去と現在の境界が曖昧になっていく。
携帯の先でガチャリと音が鳴ると先ほど会話した初春が対応した。
『はい?』
「......す......すまない」
「木山先生?!木山先生!」
研究室の中で静かに意識を無くした木山。傍らには初春と繋がっている携帯があり懸命に呼び掛けをしているが......
そこへ真っ直ぐ白い腕が伸びて来て携帯を持ちながら木山のパソコンを弄り始める。
そして木山のパソコンの画面から不協和音が止まるとあるウィルスがインストールされ始めた。
『幻想月読(フォルスビジョン)の読み込みが始まりました』
真っ白な身体をした男性の白ゼツはギザギザの笑みを浮かべ初春からの電話に声を出した。
「ゲームオーバーだね」
『!?......』
初春の声が喉の奥で凍ったかのように詰まるがゼツは気にする事なく携帯を床に落として木を突き刺して破壊した。
「さて生徒さんに会いに行こうか木山先生♪」
白ゼツは木山を抱えると掌から万華鏡写輪眼を出現させて時空を曲げて綺麗に消え去った。
『幻想月読(フォルスビジョン)のインストールまで残り10分』
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