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SAO─戦士達の物語
MR編
百四十七話 それでも尚、望むもの
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しそれ以上の言葉を紡ぐ事が出来ない。当然だ、口にするのすら恐ろしいそれを、サチはずっと恐れてきたはずなのだ。なのに、だというのに……

「違うの……私……!怖くて、もう、いやなの……分からないの……生きるのも、死ぬのも……もう……!」
「……ッ」
絶句するリョウをよそに、サチは抱え込んだ体をカタカタと震わせ、それを必死に抑えようとするかのように肩を抱く。焦点が合わないまま、自らがしでかそうとしたことに恐怖し震える瞳を見て、リョウは一瞬だけ瞑目して小さくうなづいた。

「よし……サチ、深呼吸しろ、先ずは落ち着け」
「う、ん……」
言われるがままに、乱れた思考をまとめようとサチは必死に深呼吸をする。けれど一度散り散りになったその思考は、なかなかまとまらず、また頭がパニックを起こしそうになる、そこに……

落ち着いたか……?なら、飯食うべ」
「え……?わ……」
突然、身体がふわりと浮き上がるのを、サチは感じた。勿論、正確には浮き上がったのではない、リョウによって、サチの身体が抱き上げられたのである。突然の事に少しだけ驚いたせいなのか、思考に空白が生まれ、パニックが止まった。

「りょう……?」
「…………」
現実感が無くどこか自分の事ではないような、そんな感覚を感じている内に、ちょこんと暖炉の前のソファ座らされて、リョウがキッチンの方で料理を作り始める。

「……?リョウが作るの?」
「おう…………スキルはねーから、期待すんなよ」
どこか言い訳のようにそう言って、リョウは干し肉を小鍋の中にぶち込んでいく。しばらくするとサチの前には肉入りのスープと、ベーコンの乗ったパンがあった

「…………えっと」
「……なんだ、夕飯にしては貧相だとかいわれても、野戦料理だから仕方ねぇってしか言えねーぞ」
「そ、そんな事思ってないよ!?」
ぶんぶん首を振ってサチは目の前の料理を見直す。

「ただ、リョウが料理してるの見たの、凄く久しぶりだったから、驚いちゃって……」
「あー、そうだっけか……?忘れたな」
とぼけるようにそう言って、隣に座るリョウに苦笑する。

「でも、どうして急に……?」
「別に……ただな……」
「……?」
首を傾げるサチを一瞥して、どこか言い難そうにリョウは頭を掻いて言った。

「……お前、最近冷や飯しか食ってなかったろ……だから、なんか、とりあえず美味いもん食えよって、な」
「…………」
言われて目の前の食事に視線を戻す、未だホカホカと湯気を沸かせるスープとパンは確かに、とてもおいしそうに見えた。

「……ほら、さっさと食わねーと、冷めんだろ」
「……うん……リョウ、ありがとね……」
「……別に」
言いながら、二人は両手を合わせる。

「「いただきます」」
自然と、声は揃
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