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詩集「棘」
歯車の合わないこの世界

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夢にさえいない君だから
どこまでも僕は寂しくて
春の陽射しも胸を刺す…

解けゆく冬の氷雪(オモイ)
相容れぬ春に恋をした
虚ろな瞳に浮かぶ涙は
知らぬ者へと零れ落ち…

歯車の合わないこの世界
俯く先に見えたのは
不安に苛む影一つ
軋む刹那に手を伸ばしても
縋れるものは何もなく…


伝えることさえ憚られ
想いを閉じ込め鍵を掛け
揺らぐ現に苦悩する…

陽溜まりの中の希望(ユメ)
束の間に見えた幻は
無闇に切なくただ愛おしく
そこに永久(トワ)は…ないけれど…

歯車の合わないこの世界
折れた心に留まるのは
ブリキで出来たハト一つ陰影深き街の黄昏
全てはいずれ消えるもの…


ずっと…想ってる…
なんて迷惑な話…
がんじがらめな感情…
いつか一人…懐かしむ…

歯車の合わないこの世界
涙も涸れて頽れて
叶わない恋に傷ついて
伝えられない気持ちはいつか
風の中へと散ってゆく…

歯車の合わないこの世界
俯く先に見えたのは
不安に苛む影一つ
軋む刹那に手を伸ばしても
縋れるものは何もなく…




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