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風魔の小次郎 風魔血風録
12部分:第一話 小次郎出陣その十二
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の脚の長さが目立つのだった。
「うわっ、蘭子!」
 その蘭子の姿を認めて思わず声をあげた。
「何で手前がここに!」
「覗き見をしようとはいい度胸だ」
 既に小次郎の魂胆はわかっているのだった。
「その性根。叩き直してやる」
 そう言って鞭を放ってきた。その鞭は小次郎の右足を絡め取ってそのうえで側にある木に逆さ釣りにするのだった。そのうえで背を向けるのだった。
「一晩そこにいろ」
「おい、一晩かよ!」
「姫様を覗き見すればこの程度では済まない」
 忠告どころではなく完全に本気だった。
「命は覚悟しておけ」
「おい、それでも一晩かよ!」
「一晩で済んで有り難いと思え」
 蘭子はここでも本気だった。
「何なら一週間でもいいぞ」
「おい、そこの美人モデル!」
「私のことか?」
「そうだよ、秋のトップアスリートか何かか?」
「わかりきったことを言うな」
 平然と聞き流す。
「それではな」
「ちっ、効かねえか」
 遂に諦めた。諦めるともう蘭子の姿は見えなくなってしまっていた。
「・・・・・・今日はここで一晩かよ。ったくよお」
 最後に呟く。観念して寝はじめる小次郎だった。
 武蔵はその夜にすぐに小次郎と壬生のことを夜叉姫に報告していた。報告を聞き終えた夜叉姫のその秀麗な顔に見る見るうちに不吉な険が増していく。
「壬生を。倒したというのか」
「はい」
 こくりと頷いて答える武蔵だった。
「霧氷剣を破ったうえで」
「信じられぬ」
 夜叉姫はその不吉な険を言葉にもこもらせてきた。
「あの攻介を」
「傷は深く暫く満足に闘うことはできません」
 こうも報告する。
「やはりここは八将軍を」
「・・・・・・夜叉の総力でその風魔の忍を倒すというのですか」
「獅子は鼠を倒すその時にも全力を尽くします」
 古くからある言葉だった。
「だからこそ」
「・・・・・・・・・」
「夜叉姫、御決断を」
 決断の時だとさえ述べた。
「八将軍を」
「・・・・・・風魔の九忍の動きは」
「里に集結しているようです」
 武蔵はこれも報告した。
「何時でも出陣できるとか」
「わかりました」
 それが決め手だった。夜叉姫はそれを聞いて遂に決断を下した。
「矢の用意を」
 こう告げて席を立った。
「火矢を。放ちなさい」
「わかりました」
 その後セーラー服を着た女が誠士館の玄関にて矢を上に向けていた。その後ろには武蔵がいる。
「上にだ。わかっているな」
「はい」
 女は武蔵のその言葉に頷く。顔を彼に向けることはなかったが。
「では。放て」
 その言葉と共に矢は引き絞られ上に放たれた。すぐに炎となり漆黒の夜空にその赤い光を見せるのだった。
 その光は小次郎も見ていた。彼は逆さ釣りになったまま言う
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