美保鎮守府NOW-Side B- PART6
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らえる、などと笑えない冗談だが現実は小説より奇なりという事か。
「へぇ、面白い冗談ですね」
「全くだ。貴様、軍人など辞めてコメディアンにでもなったらどうだ?そっちの方が余程才能があるぞ」
そんな脅しなど鼻にも掛けず、嘲笑ってみせる大和と武蔵。寧ろ挑発して苛立たせようとしている。髭親父の堪忍袋の緒が切れようとしたその時、ドゴン!と地面を叩く音が響いた。音の発生源は武蔵。その手にはコンクリートの破砕等に使われるスレッジハンマーが握られている。
スレッジハンマー。1m程の長い柄と重い金属製の鎚頭を備えた作業用工具。その用途はコンクリートの破砕や線路の枕木にレールを固定する為の犬釘を打ち込む為など、強力なインパクトを求められる場面に用いられる。しかも明石の手によって製造された鎚頭は30kg。通常の鎚頭はせいぜい10kg程度なのだが、その3倍の重さ。それを武蔵は軽々と振り回し、人の頭に直撃などしたら文字通り破砕してしまうだろう。実際、叩き付けた地面のコンクリートは砕かれて小さなクレーターのような物が出来上がっている。
「実力行使?一向に構わんぞ、私は。ただし、敵対するなら私は全力でお前らをブッ叩くがな」
叩き潰される。比喩表現ではなく、武蔵に対峙した陸軍兵全てがそう思った事だろう。それこそハエ叩きで叩き潰されるハエのような悲惨な未来が待っている。
「待って下さい!」
そんな緊張の糸が張り詰めた状況に、凛とした声が割って入った。
「貴様……何者だ?」
「この鎮守府の総務を任されております、大淀と申します。こちらの非礼は詫びます、どうかご容赦を」
大淀は深々と頭を下げる。
「貴様が頭を下げたところで、今更我々が引き下がれる訳が無かろうが!」
髭親父は咄嗟に腰に提げた拳銃を抜くが、何処からか飛んできた銃弾に拳銃を射抜かれて取り落としてしまう。その音に合わせて、大淀が武蔵の頬を張った。
「武蔵さん!貴女の軽率な行動で鎮守府の皆が危険に曝されているんです!大人しく引き下がってください」
「ちっ……仕方ない。退くぞ大和」
不満げな顔で引き下がる大和と武蔵を見送った後、大淀は再び髭親父に頭を下げた。
「私共の応対がなっておりませんでした。しかし、ここは私に免じて一度退いて、夜が明けましたらもう一度来訪して頂けないでしょうか?」
「そっ、そうだな。こちらも然るべき手順を無視した越権行為であった。一旦退いて体勢を整えてから来るとしよう」
あれだけ断固として退く事をしなかった陸軍が嘘のように退いていった。
「奴ら、帰ったか?」
「えぇ、バッチリですよ武蔵さん。名演技でした」
そう。先程の武蔵へのビンタも予定調和。陸軍を退かせる為に一芝居打っ
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