二話 隻腕の騎士と剣聖
[6/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
こんな混乱してる状況で悠長な訳ないだろ、と言おうとすると。
「君は怖くないのかい?」
なんてラインハルトは言ってきた。
「それは、なんに対してだ?」
「この状況にだよ。
見る限り、君はとても、とても遠い所からここに飛ばされのだろう?
なのに、君はこの状況に動揺していない。いや、むしろ楽しんでるんじゃないかな?」
「楽しんでるって……そんなお気楽な奴に見えるか?
見えたならお前の目は節穴だ」
「ははっ、そうだといいんだけどね」
なんて微笑むラインハルトの姿もイケメンで、存在するだけで周囲を明るくさせるようなオーラを放っていた。
俺ってそんなにお気楽な奴だと思われてるのかね……。いや、まぁ、確かにこの状況を楽しんじゃってる自分もいるけど。
「そうだね、まずはこれから何をするべきかを考えようか」
唐突にラインハルトは言った。
「どうするかって、どうするんだ?」
どうやってここまで来たのかさえ解らないのに帰り方がわかるわけがない。
だが、ラインハルトは元の場所に帰る解決法を提示するのではなく。
「まず、シロウ。
僕の屋敷に来ないかい?」
「────ん?」
「身よりもない、それにこの国の硬貨も持っていない。当分は僕の家で屋敷厄介になるといい」
「────ん?」
「転移の魔法についても詳しく調べないといけないな。知り合いに転移系統の魔法、精霊に詳しい精霊術師がいるから今度、訪ねてみるとして……」
「────んん?」
このイケメン、何を言ってるの?
そうして始まった異世界生活はここから始まった。
明確なゴールはない、見えない道を手探りでゆっくりと進んで行こう。
っと……その前に少し休憩。
「ラインハルト……イイ奴過ぎるだろ」
「そうね、でも。
シロウもなかなかだと思うけど」
「それはない。
俺は初対面の相手にあんだけ優しくは接せられないな」
困っているなら僕の屋敷に来いって……アイツはいい人過ぎる。
初対面で、会ってそんなに経ってない人間を自分の家に招き入れるとか親切過ぎる。
「そんな事はないと思うよ。
シロウもすごーく優しい人だから」
「お前は俺の何を知ってるんだ」
「さぁ、でもシロウが優しいって事は知ってるから」
なんてくすくすと笑うエミリア。
俺はそんなにお人好しじゃない、って言ってやりたかったけど。どうせ、エミリアは「はいはい、そうだね」なんて言いながら笑ってくるに違いない。
なら、ここは無言でそっぽ向いてやる。
夕焼けの光、時刻は……解らないけど普段なら晩飯の準備に取り掛かる時間だ。
腹減った……今日は色んな事が有り過
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ