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SAO−銀ノ月−
共闘
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らくは無意味な祈りを込めておきながら。すると何やら騒がしい声が聞こえてきて、そちらを見てみれば。

「あら……ユナじゃない」

 高所で手を振っていた筈のユナが、いつの間にか俺たちと同じ場所を歩いていた。どうやらあの飛行能力を持つマスコットに乗って来たようで、その歩みは迷いなく――アスナに向かっていた。

『今回、一番頑張っていた人にご褒美をあげるね?』

「え……?」 

 アスナの周りにいたプレイヤーもバラバラと散っていき、ユナとアスナの一騎打ちのような風体を見せた。そして怪訝な表情を晒すアスナに、ユナは何の躊躇もなく頬に口づけしていった。

『ふふ。また頑張ってね』

 それだけ言い残してユナは消えていったが、それから数秒後に辺りは野太い歓声で占められていた……どうやらこのレイドイベント、参加者がさらに増しそうでいて、もはやSAOのボスモンスターだろうと関係ないようで。

「いよっしゃぁぁぁぁぁ!」

「俺が気にしすぎなのか……?」

 雄叫びをあげているクラインから離れて他人の振りをしておきながら、不可解なボスに対して癖で髪を掻いてしった時に――

「――――!?」

 その独特の気配を察して、身体が跳ね上がり勝手に戦闘体勢に入る。どうあっても間違いようのない――『殺気』と呼べるあの気配。

「ショウキ、どうしたの?」

 隣に立っていたリズの不審げな表情とともに、こちらの気のせいとばかりに殺気は消え失せていた。少しばかり注意深く探ってみてはみるが、その主は完全に姿を消したようだった……本当にいたならの話だが。

「なんでもない。お疲れ……リズ」

「ふーん……ま、いいけど。ずいぶんポイント貯まったんじゃ――」


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