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SAO−銀ノ月−
共闘
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「クラインうるさい!」

『それじゃミュージック! あーんど、ゲームスタート!』

 そしてライトアップされるユナとともに、《オーディナル・スケール》の宣伝に使われている歌が流れ出していく。しかも応援という言葉は偽りではないようで、ただの歌という訳ではなく、どうやらこちらのステータスにボーナスが加算される代物のようだ。

「ボーナス付きか……」

「来るわよ、ショウキ!」

 流れ出すユナのライブとともに、新たなモノがこの世界に生成され……もちろん生成されるのは、俺たちの武器や防具だけではなく。その武具で倒すべき宿命の獣たちもまた、この世界を侵食するように現れていく。

「あいつは……」

 この世界に現れた産声のように声をあげるのは、猪と鬼をない交ぜにしたような、俗にコボルトと呼ばれる二足歩行のモンスター。雑魚敵などと称されることもあるが、俺たちの前に現れたその個体は、鎧に全身を覆いこちらを踏み潰せるほどの巨躯を誇っていた。その威圧感は雑魚敵などと口が裂けても言えず、本能が警鐘を鳴らし冷や汗が自然と流れていくほどだった。

 ただ――

「……《イルファング・ザ・コボルトロード》!?」

 ――キリトとアスナが発した叫びに反応するように、さらに三体の鎧を着たコボルトが出現する。先の個体より格は低いようで、《ルインコボルト・センチネル》と称されるそれらを見て、俺たち他のメンバーも敵のことを思い出した。

「あいつって確か……」

「ああ……SAOの、第一層ボスモンスターだ!」

 当時のボス攻略戦に参加していたのはキリトとアスナのみだが、俺たちも攻略後に配布された情報でその存在は知っていた。あの浮遊城で最も早くプレイヤーたちに襲いかかったボス――《イルファング・ザ・コボルトロード》が、あの浮遊城と寸分違わない外見で立っていた。

「ボスのデータを流用したってことでしょうか……?」

「さあな……」

「……オイ」

 他のプレイヤーたちに襲いかかっていく《イルファング・ザ・コボルトロード》を見て、神妙な面持ちでキリトは片手剣となった端末を握り締めていた。コボルトロードの咆哮を聞いていると、クラインが後ろから小さく語りかけてきた。

「あんまキリトやアスナに関わらせねぇで、さっさと倒してやんぞ」

「……よし」

「そうね……先にいくわよ!」

 クラインにリズと小さく短いながら相談を終え、それぞれの武器を構えてコボルトロードに向けて走りだしていく。そんな俺たちに気づいたのか、コボルトロードの臣下たるセンチネルが立ちはだかった。

「邪魔ぁ!」

 全身を刃も通さないほどの堅牢な鎧に覆われたセンチネルだが、鎧の上から直接的に打撃を加えられた結果、何処かへ吹き飛ばされて洞穴の壁に炸裂す
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