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SAO−銀ノ月−
共闘
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、公式からは特に何もなくてよ。でも何つーかな、オレの勘がその情報は正しいってな」

『どうやらその勘は正しいようです』

「ユイ?」

 ユイとともに車の中に現れたのは、《オーグマー》開発会社のSNS。確かに9時から解放されるレイドイベントの情報が出ているが、明らかにその情報の発信は遅い。

「どういうことなんでしょう……?」

「サプライズイベントにでもしたいのかもな。んじゃ、安全運転で飛ばすぜ!」

 その宣言通りにクラインのバンは加速していき、ユイのナビゲーション通りに会場近くの駐車場に停止する。会場近くは交通規制がかけられており、上空にはARシステムをサポートするドローンが多数飛んでおり、どうやらクラインの勘は本当に正しかったらしい。

「ひゃー……さっき発表されたってのに、割といるわねぇ……」

「負けられないね」

 クラインのように噂を確かめに来たプレイヤーか、情報を聞いて駆けつけたプレイヤーかは分からないが、会場にはそこそこの人数のプレイヤーが集まっていた。既に時刻は開始時刻まで秒読みとなっており、それぞれ《オーディナル・スケール》起動のための端末を握り締めた。

『オーディナル・スケール、起動!』

 開始時刻になるとともに、世界は拡張現実によって塗り替えられていく。ビル群にいた筈の俺たちは、あっという間に巨大な洞穴の内部に放り出され、ここが最奥なのか背後以外に逃げる道はない。

「って、いつ見てもあんたのカタナ笑えるわね。……そんなに好きなら、そりゃ鍛冶屋としては嬉しいわけだけど」

 キリトは片手剣、アスナは細剣、クラインは刀、シリカは短剣――のように、それぞれ自らの得意武器が端末に生成される。ピンクを基調とした制服に、もちろんメイスとバックラーをつけたリズが、こちらの腰に帯びられた日本刀《銀ノ月》を見て苦笑する。

「こっちでもありがたく使わせてるよ……ん?」

 そんな洞穴のロケーションにはまるで不釣り合いな、この《オーグマー》の通信状況の緩和の為のドローンが天井近くを飛んでいた。珍しくミスかと首を傾げていると、洞穴の高所に向けてドローンが何かを投影していく。

『みんなー! 元気ー!?』

「アレは……」

 攻撃が届くことはない高所、ドローンから発せられた光の先に現れたのは――

「ユナ! ユナですよ!」

「ユナちゅわぁん!」

 噂のARアイドル、ユナの姿だった。メンバー内でもユナのファンなクラインとシリカも含めて、他のプレイヤーからはちきれんばかりの歓声が湧く。

『今日はこの《オーディナル・スケール》のレイドイベントに来てくれてありがとー! 私も歌って精一杯応募するね!」

「マジかよオイ! ユナのライブ付きイベントってか!」

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