115部分:第十話 小次郎と姫子その十三
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第十話 小次郎と姫子その十三
「この戦いの後いよいよ八将軍の七人が戻って来る」
「そうだったな。遂にな」
「思えば長いことでした」
夜叉姫もまたここで言ってきたのだった。己の座にありながら。
「あの七人が戻るのを待つことだけでも辛いものがありました」
「ですが姉上」
壬生は夜叉姫を姉と呼んで述べてきた。
「それも今だけのこと。今度の勝負が終われば」
「一気に決着をつけるつもりです」
夜叉姫もまた強い言葉で弟に対して返す。
「必ずや。風魔の九人を」
「倒しましょう、そして再び誠士館による関東統一を」
それを言ったその時だった。不意に部屋の中に朧な影が姿を現わした。その影はすぐに実体となっていく。その実体の主は。
「陽炎か」
「うむ」
壬生に対して応える。右手の扇を扇がせつつ立っていた。
「何かわかったか」
「一つ面白いことがわかった」
陽炎はこう壬生に告げてみせてきた。
「一つな。それでだ」
「それで?」
「姫様」
ここで夜叉姫に対して上奏してきたのだった。
「一つお伝えしたいことがあるのですが」
「お伝えしたいこと?」
「それです。聖剣のことです」
「聖剣のこと?」
「お話しても宜しいでしょうか」
「是非」
夜叉姫の返答はこうであった。
「話しなさい。是非」
「わかりました。それでは」
こうして陽炎は話しはじめた。それは。
「まず聖剣は十本あります」
「十本ですか」
「これは前にもお話があったと思いますが」
「確かそうだったな」
壬生が陽炎のその言葉に頷く。
「聖剣は十本だったな」
「そうだな。だがどれが何処にあるのかわからなかった筈だ」
武蔵も言う。
「残り八本。どうなっているか」
「まず三本は所在が完全に不明です」
陽炎はまず三本について述べた。
「何処にあるのやら。名前さえも」
「まだわかりませんか」
「申し訳ありません。ただそのうちの一本にあの伊達総司が関わっているそうです」
陽炎はこう夜叉姫に告げた。
「伊達を呼べばわかるかも知れませんが」
「おそらく無理でしょう」
しかし夜叉姫はここでそれは否定したのだった。
「無理ですか」
「知っていても話す筈がありません」
それが伊達総司に対する夜叉姫の見方だった。
「聖剣のこと。何があっても」
「そうだな。それはまずない」
武蔵もまた夜叉姫の考えと同じだった。
「ましてやあの男はこの飛鳥武蔵にも匹敵する男、下手に戦力を向けてはおかしなことになってしまうな」
「そうか。ではあの男についてはまずは様子見だな」
「そうあるべきだな」
「わかりました。それでは」
武蔵と陽炎の話を聞いて夜叉姫も決断を下すのだった。
「伊達総司についてはそのままとしま
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