第10話
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かもしれないけど、互いの効果を組み合わせて、手と手を繋ぐように組み合わせることで自分達を大きく表現する。それがシンクロ召喚なんだって。そう言って見せてくれたデッキは低レベルのモンスターばかりのデッキで、エースのシンクロモンスターはその低レベルのモンスターの力を借りて強くなるモンスターだった。【ジャンク・ウォリアー】遊矢はそのモンスターこそがシンクロ召喚を生み出した人の思いを表現しているモンスターだと思っている。
もしシンクロ召喚がなかったら、低レベル低攻撃力のモンスターは見向きもされなかったはずだ。そんなモンスターたちの手を取り合い、共に立ち上がる。そして相手とも最後には手を取り合う。そんな思いがシンクロ召喚を生み出したはずだと。その思いが様々なシンクロモンスターを生み出し、今の環境を生み出した。だけど、その過程で最初の思いが見失われてしまった。手を取り合えず、上と下が産まれた。それをキングが一度は切り開いたけど、それだけだった。だから遊矢が、ランサーズ達が切り開いた道をこじ開ける。手を取り合って、平和を乱そうとする人たちから笑顔を守るために。だけど遊矢は苦しんでいる。
まだ私と同年齢なのに、その両肩に重圧を背負って。押しつぶされそうになっているのに笑顔を顔に貼り付けて。もう休ませてあげて良いはずなんだ。熱だけじゃなく重圧に苦しむ姿を見てしまったから。意識が朦朧としていないと素の自分を出せない不器用な人なんだ。子どもたちにエンタメデュエルを教えていても、心の底からは楽しんでいない可哀想な子供なんだ。一番認められたい人に見てもらえない。それが一番辛そうだ。自分でも気づいていないんだと思う。
こんなことに気づきたくなかった。そうすれば瑠璃がセレナを牽制しながら遊矢に近づこうとしてガン無視された挙句に零羅に取られたりするのを見て笑っていられた。忍者の日光と月光に対抗してマジシャンとしての技量で似非忍法を使って追いかけっこをする姿を見て笑えた。よりモンスターとスピードと一体化するために少し変わったローラーシューズを改造してスピードを出しすぎて転倒して不貞腐れるのを見て笑えた。
ユーゴとは別の意味で目を離せない。ユーゴはなんだかんだで放っておいても最後には何事もなかったように帰ってくる気がする。だけど遊矢は最初に出会った時みたいに、どこか人目につかない所で倒れてる姿しか想像できない。誰にも迷惑をかけないようにひっそりと。
そんなことを考えていたから気づかなかった。誰かが私の背後に忍び寄っていたことに。
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