第四十九話 受験の後でその十三
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「赤本はね」
「二回か」
「それだけだったわ」
「そんなものか」
「ううん、赤本はね」
「他の参考書や問題集は何度もしたか」
「そうしてたわ」
「じゃあ通るか?そもそもうちの法学部通るんならな」
それならとだ、龍馬は考えつつ話した。
「文学部通るだろ」
「レベルが違うから」
「模試の査定もAだったろ」
「そうよ」
「しかも推薦だったらな」
条件がそこまで揃っていたならというのだ。
「絶対通るだろ」
「絶対はないから」
「安心はしてないか」
「ええ、そうよ」
「そこは御前らしいな」
油断も慢心もしない優花らしいというのだ。
「まあリラックスしてな」
「受ければいいわね」
「晩飯のことでも考えながらな」
「ステーキと豚カツね」
「それだよ、じゃあ明日な」
「ええ、会えたらいいわね」
「入試の教室は違うけれどな」
受験する学部が違うからだ。
「早いうちに待ち合わせして行こうぜ」
「そうね、それじゃあ」
「明日な」
「一緒に行きましょう」
「街合わせの場所は高等部の校門にするか?」
「あそこがいいわね」
「じゃああそこでな」
「ええ、八時位に」
二人で明るく話してだ、そしてだった。
優花は電話の後でまた落ち着いた時間を過ごした、六時に姉が帰ってくると玄関で出迎えた。
「お帰りなさい」
「ええ、只今」
「今から御飯を作るのよね」
「そのつもりだけれど」
「お米研いでおいたから」
「そんなことしなくていいのに」
「何かしていないと」
優花としてはだ。
「何かかえってね」
「落ち着かないのね」
「それでお米を研いでね」
そしてというのだ。
「電子ジャーに入れて予約入れておいたから」
「そこまでしたの」
「七時にね」
「しっかりしてるわね」
「あとグラタンは」
「そちらも?」
「もう何時でもオープンに入れられる様にしておいたから」
こちらもというのだ。
「少し時間あったから」
「そっちもしてくれたの」
「そうだけれど」
「やれやれね、本当に主婦ね」
妹のそうした言葉を聞いてだ、優子は笑って言った。
「優花は」
「奥さんだっていうの」
「じゃあお洗濯とかも」
「入れて畳んで」
そしてというのだ。
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