巻ノ八十五 猿飛大介その六
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「道を進むのを登ると考えれば」
「何処までもあります、ですから」
「拙者もか」
「高い場所は限りがありませぬ」
「道のじゃな」
「ですから何処までもです」
「高い場所にか」
「進まれて下さい」
こう幸村に言うのだった。
「是非」
「ではな」
「はい、何処までも」
「そうしよう、拙者は進んでいく」
「それではさらにです」
「忍術を教えてくれるか」
「是非、それとですが」
大介はさらに言った。
「殿の佐助も他の十勇士の御仁も」
「皆じゃな」
「時折ここから出られていますな」
「そのことも承知されていたか」
「はい、今はここにおられますが」
幸村も十勇士達もというのだ。
「そうされてきましたな」
「天下を見て知る為に」
「そうでしたな、ですがそれならばです」
「それならばとは」
「よく天下を御覧になって下さい」
大介は畏まってだ、幸村に話した。
「そのうえでお動きをお考えになって下さい」
「出てもよいか」
「それがしもそう思います、そして」
「さらにじゃな」
「はい、天下にはそれがしの他にもおります」
「術に優れた者が」
「殿も佐助も他の十勇士の御仁も」
即ち十一人全てがというのだ。
「そうした方々と会われ」
「術をか」
「さらに身に着けて下され」
「時に備えてじゃな」
「そうされて下され」
「わかった、ではな」
「天下は広うございます」
このこともありというのだ。
「ですから」
「そうした者達と会い」
「さらにお強くなって下さい」
「ではな、しかし」
「しかし?」
「一つ思うことは」
それはというと。
「殿はいつも高野山にも行かれていますな」
「そのことか」
「はい、やはり」
「うむ、関白様のことがな」
秀次、彼のことをとだ。幸村は袖の中で腕を組みそのうえで神妙な顔になって大介にこのことについて話した。
「やはりな」
「お気にですか」
「あってな」
「よくして頂いていたとか」
「何かとな」
「だからですか」
「もう言っても仕方ないが」
それでもというのだ。
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