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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十二話 戦場を支配するもの
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貞寝だ。残り少ない人生だ、有意義に使おう。
宇宙暦 794年 7月26日 ハイネセン 宇宙艦隊司令部 ミハマ・サアヤ
「ヴァレンシュタイン大佐、貴官ならイゼルローン要塞を落とせるかな?」
「……どうでしょう、そんな事考えた事が無かったですからね」
「考えてみてくれないかな」
「……気が向いたらですね。それにイゼルローンを落とさないほうが同盟のためかもしれないし……」
ヴァレンシュタイン大佐とワイドボーン大佐が会話しています。ワイドボーン大佐は熱心にヴァレンシュタイン大佐に話しかけていますが、ヴァレンシュタイン大佐はまるでやる気無しです。何を考えたのか机の上を片付け始めました。
少し酷いです、ワイドボーン大佐に失礼だと思います。空気が読めないなんて言ってますが、大佐だって人のことは言えません。
「申し訳ありませんが、私は体調が優れないのでこれで早退させていただきます」
そう言うとヴァレンシュタイン大佐はカバンを持って席を立ちました。私もヤン大佐もワイドボーン大佐もちょっと眼が点です。
「ああ、気をつけてな。ゆっくり休めよ」
ワイドボーン大佐が声をかけるとヴァレンシュタイン大佐が軽く頭を下げて部屋を出て行きました。本当に具合が悪いのでしょうか、とてもそんな風には見えません。皆黙って部屋を出て行く大佐を見送りました。
「あの、済みません、ワイドボーン大佐。ヴァレンシュタイン大佐が失礼な事を……」
どうして私が謝るんだろ、納得が行きませんが、仕方ありません。私が一番付き合いが長いし、一番階級が下です。
「別に失礼じゃないさ、彼はちゃんと答えたじゃないか」
ワイドボーン大佐が屈託無く答えました。思わず間抜けな声が出ました。
「はあ? あれがですか?」
この人、よく分かりません。やっぱり空気が読めないんでしょうか?
「気が向けば考えると言っていただろう?」
「はあ」
「それに、落とさないほうが同盟のためかもしれないと言っていた」
「……」
それがちゃんと答えた事になるのでしょうか? 思わずヤン大佐の方を見ました。ヤン大佐は困ったような顔をしています。
「落とさないほうが同盟のためかもしれない、つまり要塞を落として帝国領へ踏み込んで戦うよりも、同盟領で戦うほうが良い、そういうことだろう」
「そうなんでしょうか」
「少なくとも地の利は有る、それに戦力も集中し易い、そういうことだろうな」
「はあ」
そういう考えも有るんだ、素直にそう思いました。でも本当にヴァレンシュタイン大佐がそう思ったのか、どうか……。私には半分以上は投げやりな口調に聞こえたんですが……。ワイドボーン大佐は無理に好意的に取ろうとしている?
「それより貴官達、ヴァレンシュタインを胡散臭そうに見
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