プロローグ
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だのお医者さんだよ。そんなにかしこまらなくても良い。でも、もうすぐレイシフトが始まるのに、どうして君はここに? カルデアに来たという事は、マスターなんだろう?」
タケルが所長とのいざこざを説明すると、ロマニは苦笑いを返し、ケーキを頬張る。
「成程、所長の逆鱗に触れ、ファーストミッションから外された、と。僕と一緒だね」
「え?」
「所長に、『ロマニがいると現場の雰囲気が緩む』と言われて、追い出されてね。だからここで拗ねてたって訳さ」
「そうだったんですか。でも、俺は良い事だと思いますよ」
「本当かい?」
「はい。それって、誰かを和ませる事が出来るって意味ですから、とても良いと思います」
「おお! 僕は君の様な人間を待っていたんだ! 所在ない者同士、仲良くしようじゃないか!」
そういう共通点というのはどうかと思うが、それでも話せる人物がいるのは嬉しい。タケルは素直に笑顔を返した。
「よろしくお願いします、ロマニさん。あの、聞きたい事があるんですけど、さっきここは地上より上にあると聞いたんですけど……」
「ああ、教えよう。カルデアは……」
ロマニが口を開こうとしたその時、ロマニの手首に巻き付いているレフが着けていたモノと同じ腕輪が音を鳴らした。
聞こえてきたのはレフの声だ。どうやら、通話機能を持っているらしい。
「うん? レフ、どうしたんだい?」
『もうすぐレイシフトが始まるんだが、Aチームは良好、しかしBチームの何名かに微かな変調が見られる。来てくれるか?』
「分かった、麻酔をかけに行こう。すぐに向かう」
『そこからなら二分で到着するはずだ。頼むぞ』
「OK」
通話を切ったロマニ、タケルはふと、
「ここは、医務室じゃないですよね?」
「……まぁ、言い訳は考えるさ。今の彼は……」
「レフさん、ですよね。聞いてます。技師の一人だと聞いてます」
「控えめに言ったなぁ。レフはね、『カルデアス』の大事な部分を設計した魔術師なんだよ?」
「へぇ……」
まさかあの穏やかな表情を浮かべるレフがそんな凄い人物とは知らず、タケルはそんな返事を返す事しか出来なかった。
「それじゃあ、僕はこれで行くね。楽しかったよ、天空寺君。もし暇だったら医務室に来てくれ。美味しいケーキでも……」
その時、ロマニの言葉を謎の爆発音が遮る。直後、不気味な音に続いて天井の照明が切れた。
「停電?」
「まさか。カルデアで停電なんて……」
『緊急事態発生、緊急事態発生』
アナウンスが流れ、カルデア内の発電所から火災が起きている事が知らされる。タケルはロマニの顔を窺う。
「火災だって……!」
その切羽詰まった事態から、タケルは現状がとても危険な状態にある事を悟る。
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