プロローグ
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いう事になります」
「そっか。どっちみち、俺には出来なかったのかもしれない。残念だけど……」
「カルデアを、降りますか?」
マシュの問いに、タケルは首を振った。
「ここで俺が出来る事は、きっとあると思う。だからそれが見つかるまで、もう少し頑張ってみるよ」
「そうですか……」
と、そこでマシュは足を止める。丁度タケルが倒れていた場所だ。マシュは窓の外の吹雪に目をやる。
「ここは、地上よりもとても高いところにあるんです。なのに、青空は見えないんです」
「マシュは、ここにどれくらいいるの?」
「二年ほどです」
「二年!? そんなに!? じゃあ、青空をもう二年間も見ていないんだ……」
タケルが言うと、マシュはこっくりと頷いた。その眼差しには、青空への憂いが感じられた。
「ここが、タケルさんの部屋です。さっきレフ教授が急いで空き部屋を探してくれて」
「ごめんね、レフさんにありがとうって伝えてくれると嬉しいんだけど」
「構いません」
「ありがとう。でも、マシュもレフさんも、よく俺の事を信じてくれたね。普通、別の世界から〜なんて誰も嘘だと思って聞いてくれないよ」
タケルがそう言うと、マシュは首を横に振り、微笑む。
「魔術やタイムスリップがあるんです。別世界だって、あると思いませんか?」
「成程、そういう考えもあるのか……マシュも、ミッションに参加するの?」
「はい。ですから、私はそろそろ行きます」
「そっか……頑張ってね、応援してる」
タケルが激励の意を込めてぐっとサムズアップすると、マシュは笑顔を返し、手を振ると廊下を足早に去って行った。
「良い子だな……」
このカルデアで初めて会った人間がマシュで良かった、とタケルは微笑み、それから部屋のドアを開き、次の瞬間呆気に取られてしまった。
急展開、とでも言えば良いだろうか。誰もいないはずの部屋のベッドには、白衣を着た青年が鎮座し、ケーキを頬張っているのだ。
「え、だ、誰ですか?」
「ふぁーい、入ってまーす……って!? 誰だね君は!」
青年がびしっ! とフォークをタケルへと突きつけた。
「ここは僕専用のサボり場だよ? 誰の許可を得て入ってきたんだね!」
「この部屋が、僕のだって聞いたんですけど」
「え!? だって、マスターは四八人なんじゃあ!? ここに来て、一人追加!?」
「そういう事になります。それで、貴方は?」
「ん? ああ、紹介が遅れたね。僕は、ロマニ・アーキマン。医療部門のトップで、カルデアの皆からはドクターロマンって呼ばれてるよ」
「トップ!? すみません、お休み中に!」
タケルが頭を下げようとすると、ロマニ・アーキマンはそれを手で制した。
「いやいや、僕はた
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