プロローグ
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リーフィングって何処でやるんですか?」
話を聞いただけで、所長はどんな恐ろしい人物なのか、という想像をしてしまい、タケルは左右を見回す。当然カルデアの事に詳しくないタケルからしてみれば、建物内はまるで迷路だ。
マシュが突然タケルの手を掴んだ。
「こっちです」
「え?」
「遅れちゃ大変です。急ぎましょう」
「あ、ありがとう!」
「マシュが自分から人が関わるとはね。マシュ、彼の何処に興味を惹かれたんだい?」
ブリーフィングが行われる予定の場所に向かうエレベーターの室内でレフが唐突にマシュに声をかける。マシュは少しの間考え込んでから、
「タケルさんは、カルデアにいる人達よりも、何かが違うんです」
「違う?」
「カルデアの人間は、皆一癖も二癖もあるんだが、天空寺君はもっと凄いという事かな?」
「俺は、別にそんな事ないと思うんですけど……」
と、そこでタケルは言葉を切る。ガラスを挟んで、カルデアの広大な地下空間が目前に広がる。圧巻の景色にタケルはガラスに手を置き、驚愕する事しか出来なかった。
カルデア、ここで、世界を救う為にレイシフトを行う。そしてもしかしたら自分はその候補者になれるかもしれない。そう思うと、タケルは頑張らなくては、と自然に拳を握っていた。何処であっても、自分のやるべき事はある。ここでも、全力を注がなければ……!
「うわぁっ!?」
そう思っていたタケルは、思い切り突き飛ばされ、廊下に転がり出た。びっくりして振り返ると、既に部屋の扉は閉じられ、完全に自分が閉め出された事を語っていた。
ついつい寝てしまった。部屋につくまでは良かったのだが、そこから気が緩んだせいでうとうとしてしまい、あろう事か所長が説明をしている中でタケルは爆睡してしまったのだ。
「もう……なんで俺って……」
「タケルさんは、ファーストミッションから外されてしまったみたいです」
「え!?」
「個室に案内します」
あまり感情を表に出さないマシュも、少しばかりタケルに呆れている様子だった。恥ずかしさのあまり、タケルは頬を掻く。
「……俺、大失敗しちゃった?」
「はい。所長から目の敵にされると思います」
マシュと共に廊下を歩く中で、タケルがそう言うと残酷な事実が突きつけられ、思わず溜め息をついてしまう。これではタケルの今後のミッション参加は絶望的かもしれない。
「魔術の世界は実力は勿論の事、家柄がものを言います。所長は魔術の名門の出で、血筋に強いこだわりを持っているんです。試験段階のレイシフトを成功させる為には、多くのマスター適性者が必要でした。でも、その候補者も一握りしかおらず……」
「じゃあ、俺はひょっとしたら出来ないかもしれなかったのかな?」
「はい、そう
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