110部分:第十話 小次郎と姫子その八
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た。彼の声が轟いている。
「春はある!悲しみばかりではない!」
「・・・・・・済まない」
彼女の声は団長には届かない。しかし静かに礼を述べてその場を後にする。だがその肩は落ちてはいても。泣いてはいなかった。涙は表には出していなかった。
小次郎はいつもの長ランのまま待ち合わせ場所にいた。テーマパークの前である。
「さて、そろそろだよな」
ニヤニヤしながら待っていた。
「姫様、そろそろ。そういえば」
待っている時にふと気付いたことがあった。
「姫様の私服姿って今まで見たことねえな。果たしてどんなのかな」
「小次郎さん」
その時だった。その姫子の声がした。
「おっ!?」
「お待たせしました」
声が聞こえた方に顔を向けるとそこに姫子がいた。黄色い上着に白い膝までのスカート、それに白いソックスと黒い靴だった。身奇麗で清楚な姫子によく似合った格好だった。
「うわ・・・・・・」
「?どうしたんですか?」
自分を見て呆然とする小次郎を見て目を少し丸くさせた。
「私の顔に何か」
「顔だけじゃなくて」
小次郎はその呆然とした顔のまま答えてきた。
「すげえ。私服も」
「似合ってますか?」
「似合ってるなんてものじゃねえ」
小次郎は言う。
「最高ですよ、姫様」
「そんな、そんなに言われたら私」
こう言われては姫子も顔を赤らめさせるしかなかった。
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