第百六話 光の魔法その一
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第百六話 光の魔法
僕達はイルミネーションの中にいた、そこには照らされた街角に緑の光る大輪を咲かせた運河に金色に輝く船に。
フラミンゴや光の海を泳ぐ鯨達、そして眩い塔もあった。
その中にいてだ、チェチーリアさんがだった。
道でくるくると身体を動かして歩いてだ、こんなことを言った。
「ここが天国なのかしら」
「そうも思えてきたんですね」
「ええ、何かね」
「奇麗だから」
「あまりにもね、こんな奇麗な場所は」
それこそという言葉だった。
「見たことがないわ」
「そこまで、ですか」
「こんな奇麗な世界を表せるなんて」
それこそと言うチェチーリアさんだった。
「日本は凄いわ」
「本当によく、ね」
日菜子さんも言う。
「こんなもの考えられたわね」
「昔はなかったそうです」
かつてのハウステンボスにはとだ、僕はお二人に答えた。チェチーリアさんはもうひらひらと舞う様に動くのを止めている。
「最初の頃は」
「最近になってからなの」
「イルミネーションをはじめたそうです」
「催しとして」
「そうしたらです」
「大好評だったのね」
「この通り奇麗なので」
あまりにもと言うべきとだ、僕も思う。
「これも評判になって」
「お客さんが増えたのね」
「そうなったんです」
これだけのものが評判にならない筈がなくそれを観たいと思う人が来ない筈もない、まさに好循環である。
「一時期危ない時期もありましたけれど」
「こんな素晴らしいものがなくなったら」
僕の今の言葉にだ、チェチーリアさんはこう言った。
「芸術の損失よ」
「そうなりますね」
「本当にね」
実際に僕にこう言った。
「危ないところだったわ」
「まあ経営危機の時は」
ハウステンボスにもそうした時期があった、しかしそれを乗り越えて今があるのだ。
「確かイルミネーションはじめる前でした」
「そうだったの」
「はい、確か」
「そうだったのね、けれどね」
「ハウステンボスがあって」
「それでこのイルミネーションがあるから」
「同じですね」
僕はチェチーリアさんにあらためて言った。
「それなら」
「そうなるわよね」
「はい、結果として」
「やっぱりそうよね」
「ハウステンボスのイルミネーションですから」
何といってもだ。
「そうなります」
「そうよね」
「僕も思います」
イルミネーションの鯨を観た、本物の鯨が海の上を空を飛ぶ様に泳いでいるみたいに見える。こんな幻想的な風景はアニメだけだと思っていたらここにもあるのだ。
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