第7章 聖戦
第165話 虐殺の夜
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が多かったのですが、それは元々宵っ張りの朝寝坊タイプの上に、本を読み出すと切りの良い所までトコトン読んで仕舞う為に、夜遅くまで起きている事が多かったから。更に、吸血姫は昼間にバイオリズムの低調な時間帯が訪れるので、昼間の彼女は妙に眠たげな雰囲気となるのも当たり前。
しかし、逆に言うと今の時間帯。夜に眠たげな様子を見せた事など、今までに一度もなかったはずなのですが……。
「どうした、気分でも悪いのか?」
霊道を通じて流れて来ている気配は、少し霊気が不足気味のような気もするが、それ以外に関して……。少なくとも病を得た人間特有の陰気を今のタバサは纏ってはいない。
ただ、霊力不足と眠気に関係する吸血姫独特の危険な状態があるので……。
しかし――
「問題ない」
小さく首を横に振り、此方もまた個性と言う物を産まれて来る前に何処かに忘れて来て仕舞ったのではないかと……。そう考え掛けて、直ぐに否定。そう、むしろ人間として今の彼女は個性的過ぎる口調だと感じたから。
それに少なくとも今のタバサの答えに、感情は微塵も籠ってはいない。
もっとも、そう答えている今も十分に眠そうで、どう見ても大丈夫なようには見えないのだが。
確かに紫外線に過剰に反応して居るようには見えないが、その状態を維持する為に余計に霊力を消耗している可能性はある。
ならば――仕方がないか。
立ち上がり、そのままシルクの黒いイブニングドレス姿の蒼い少女を抱き上げる俺。まるで抵抗する様子もなく、あっさりと抱き上げられて仕舞うタバサ。
矢張り軽い。確かに有希と比べると実在感がある分だけ重く感じるが、彼女は俺に負担を掛けないように重さを自分で制御していると思うので、有希とでは比べる方が間違っているレベル。
抱き上げた瞬間、タバサの鼓動が僅かにペースを乱し、発する気配が明らかな陽の気を帯びた。
そして、タバサの発して居る気配に比べて、少し陰の気を発する俺と直接契約を交わしている少女たち。但し、そうかと言ってあからさまな不快な表情などを見せる事もなかったので――
「エレーネは少し無理をして居たからね」
まぁ、普通に考えると少し体調不良のタバサを気遣っている俺に対して、あからさまな不快な表情で自分は不機嫌だぞのアピールをしたトコロで益はない。何故ならば、例えそんな事をしても俺が「なかなか愛い奴じゃのぉ」などと思うはずはないから。
正直、コイツ、なんて心の狭い奴だと幻滅するのが関の山。
この辺りが現実とマンガやアニメの世界との違いと言うヤツなのでしょうが。
「優柔不断なアンタには過ぎた相棒なんだから大事にしてやりなよ」
……などと考えている俺に対して、勝手に言葉を続けるイザベラ。
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