暁 〜小説投稿サイト〜
蒼き夢の果てに
第7章 聖戦
第165話 虐殺の夜
[5/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
持っていない彼女は、他者からどう見られようが、どう考えられようが興味がない。確かに飾り気のない西高のセーラー服姿は彼女に良く似合っているようにも思うが、それは彼女に取ってのデフォ。出逢った当初はこの服装以外の姿を見る事はなかった。彼女の容姿を語る上で重要なアイテムとなっている、ごくありふれた銀のハーフリムもタバサのそれと比べてもかなり地味。少年のように短めに切られた髪型もほぼ手入れをされている様子はない。
 普段はすべての事象に対して酷く醒めた、ある意味、虚無的とも言える瞳で見つめるのみの彼女。但し、唯一、俺を見つめる瞬間にのみ、長いまつ毛に縁どられたその双眸に感情の色が浮かぶ。

 ほんの僅か。おそらく、霊道で繋がった俺のみが微かに感じる事が出来る程度に、微かに潤んだ瞳。そして、その時に彼女が発して居る微かな感情の揺れを。

 俺の感謝の言葉に、僅かに瞳を上下させる事に因り応える湖の乙女。その時、ようやく少し不満げな気配を発していた彼女の機嫌が良くなった……様な気がした。
 もっとも彼女自身が、自らが不機嫌だと自覚しているかどうかは微妙な線。それほど微かな陰の気を彼女は発して居た。

 ただ……。

「アルビオンからの侵攻は既に五度受けて、そのすべてを撃退しているよ」

 ただ、こいつ等。……イタクァやバイアキーが相手では、流石にガリアの航空戦力だけでは心もとないのではないか。
 かなりの危機感。これではティファニアを助け出すドコロか、対アルビオンの戦術を根本から見直しを計る必要がある。そう考え掛けた瞬間のイザベラの言葉。
 そして、

「最初の二度はエレーネや湖の乙女、妖精女王の能力に頼って。後の三度はアカデミー製の火石と風石の反応弾を使用してね」

 これもあんたに教えて貰った魔法の基本だったかね。
 ……と続ける。

 成るほど、()()があったな。火石と風石の反応弾。これは複合呪符の応用編。要は活性化させた火石と風石を使用して、どちらか単独で使用するよりも数倍の威力に成る様に調整したミサイル。
 複合呪符は羅?星(ラゴウセイ)と戦った際にも使用した技なのだが……。

 そう、今までのハルケギニアの常識で使用されて来た武器や魔法だけを敵が使用する状態ならば、本来、これは必要のない兵器。しかし、相手の後ろにクトゥルフの邪神が居る以上、敵の戦力が予想出来なかったので、一応、転ばぬ先の杖として開発していた代物。

 確かに過ぎたるは及ばざるが如し、……と言う言葉もある。それに、大き過ぎる力と言う物は往々にして不幸しかもたらせない物でもあるのだが……。
 それでも、俺が今回の転生ですべての悪しき流れを終わらせられる……クトゥルフの邪神、這い寄る混沌のすべての企てを阻止出来るとは限らない。もし
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ