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蒼き夢の果てに
第7章 聖戦
第165話 虐殺の夜
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した人造人間。その大軍に追い立てられているのはおそらくトリステインのアルビオン懲罰軍。

 暗闇でも何故か分かる血の気の失せた顔に、死んだ魚のような瞳。ゆっくりと、殊更、ゆっくりと奴らは前進を続け――
 刹那!
 丸太ほどもあるような腕が振り回される度に周囲に赤黒い霧が発生、その直後に頭を失ったトリステイン兵の身体から噴水の如き勢いで赤い液体を発しながらその場に倒れ伏す。
 腕が引き千切られ、胴体が真っ二つにされ。口々に発せられる悲鳴も直ぐに次なる苦鳴にかき消され、そして次の瞬間には物言わぬ(むくろ)へと姿を変える。

 地獄絵。それは最早、戦などではなく虐殺。反撃など許される事のない一方的な蹂躙。

 そもそも、あのフランケンシュタインの化け物の成りそこない共は、俺やタバサ、それにアリアだったから倒せたような連中。一般人に毛が生えた程度のハルケギニアの魔法使いたちでは精々が表皮に傷を付けられる程度でしょう。そして、奴らの回復力ならその程度の傷など瞬時に回復させて仕舞う。

 奴らを倒すには地球世界で俺がさつきを助け出した方法。憑依させられた悪しき霊。蛇霊アプぺを完全に祓い、その後に肉体から追い出され、無防備と成った蛇霊を倒すのがもっとも簡単に倒す方法なのだが――
 但し、少なくともある程度の除霊が出来る人間。最低でも柏手ひとつ、もしくは息吹ひとつで憑依していない、アストラル体の邪霊を祓える程度の実力がなければ無理でしょう。
 他に方法は……生命の源。奴らに取っての血液を、奴らの致死量分だけ一瞬で失わせる。ほぼ不死に近い回復を行える奴らに中途半端な攻撃は意味がない。少なくともプロレスラー並みの身体を真っ二つに出来るだけの技量と膂力(りょりょく)を持っている必要はある。
 但し、龍種の俺やアリアと互角に戦える身長二メートルの怪物と格闘戦を行って、致命傷を与える事の出来る一般兵は流石に居ないと思うので……。

 そして変わる視点。此方は――

 港から離れ、完全に虎口を脱したと思われた飛空船団。
 形に統一感は見られない。しかし、大型の物は太いマストを四ないし五本装備した……おそらく地球世界で戦列艦と呼ばれる帆船の初期型だと思う……がゆっくりと。そして、その周りには二本から三本のマストを装備した、地球世界で同時期に活躍したガレオンやキャラックと呼ばれる帆船と思しき飛空船が付き従っている。
 ゆっくりと。その大きさや積載された人員の多さに比例するかのような鈍重な動きで降下の陣形を組み上げようとした――
 ――その刹那!
 突如、爆発する一隻の船。
 いや、違う。これは爆発した訳ではない。これは何モノか……何か巨大な、そして異常に冷たいモノに叩き潰されたのだと思う。
 何が起きたのか分からない一瞬の内に凍らされ、
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