第三話 本土からの使者
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ていったらどうかしら?ここから横須賀に戻ってまたここに来るのも大変でしょ?」
「そうなると思っていたから、一泊する準備はさせてもらっていたよ」
「……準備のお早いことで」
笑いながらそう言う海原少将に、凰香は呆れたようにそう言って立ち上がる。そして全員分の夜ごはんを作るために食堂の厨房へと向かっていった。
………
……
…
いつもよりもさらに多い人数で食事をした後、凰香は一人で露天風呂に入っていた。
「はあ………」
凰香は湯に浸かり、ため息を吐いたあと夜空を見上げた。夜空には星々がキラキラあと輝いており、普通なら『綺麗』だとか『美しい』と感じるのだろうが、今の凰香にはほとんどの感情が無いため星々を見ても何も感じなかった。
それよりも、今の凰香の頭の中は先ほどの件で埋め尽くされていた。
(佐世保第十三鎮守府の提督になるか、否か………)
海原凪少将が頼んできた内容。それは自分達の運命を大きく狂わせた鎮守府の提督となり、そこに所属している艦娘を救うというものだ。
普通なら海軍の正規の提督を着任させるものだが、佐世保第十三鎮守府の艦娘はずっと苦しめられてきたために人間そのものを敵視してしまい、提督を着任させることができない状態となってしまっていた。
そこで海原少将はあの鎮守府の初代提督の娘である凰香に頼んできたというわけだ。
(父さんがあの鎮守府の元提督だったなんて………)
凰香は衝撃的な事実に驚きを隠せなかった。自分が覚えている限りに父親は軍人らしいところはなく、どこにでもいるような人だった。おまけに言えば、海原少将が凰香が幼いときに会ったと言っていたが、凰香にはそちらも覚えがなかった。まあ凰香が幼い頃だったというので、凰香が覚えていないだけなのだろうが。
(私は一体どうすればいいんだろう………?)
凰香が深海棲艦の右腕を夜空に向かって伸ばしながらそう思っているとーーーー
ーーーーガラララーーーー
脱衣所と繋がっている引き戸が開き、黒髪を結い上げバスタオルに身体を包んだ海原少将が入ってきた。
「ほう、これは立派な露天風呂だな。ぜひ私の鎮守府内にも造りたいものだ」
海原少将はそう言うと、身体を洗ってから湯に浸かり、凰香の隣に座る。
「……なるほど。それが君の今の右腕か」
海原少将がそう言って凰香の右腕を見てくる。凰香は右腕を湯の中に沈めて言った。
「……醜い?それとも怖い?」
「まさか。君の右腕は醜くも、強くもないさ」
海原少将がそう言いながら凰香の右腕を取って触れる。海原少将の突然の行動に凰香は思わず固まってしまった。このような行動をしたのは防空棲姫と時
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