第三話 本土からの使者
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を飲んでいた榛名が申し訳なさそうに言った。
「……ごめんなさい、榛名達のために」
「ああ、誤解させてしまったようだね。ここまで多いのは久しぶりだったからね」
「そうだったんですか」
時雨の言葉に、夕立がそうつぶやく。時雨と同じくエスプレッソを飲んでいた凰香はそこで夕立が目の前にあるストロベリーパフェに手をつけていないことに気がついた。
「夕立、食べないの?」
「え、いや………」
凰香にそう聞かれた夕立がなんて答えようか迷った表情になる。
それを見た凰香は夕立に言った。
「………食べたいなら食べればいいじゃない。誰もあなたを責めないんだから」
凰香はそう言うと、スプーンを手に取ってストロベリーパフェを一口すくう。そしてそれを夕立の前に持ってくる。夕立は少し驚いたような表情になるが、やがて目を閉じて口を開けスプーンにすくわれたストロベリーパフェを食べる。すると夕立はすぐに目を開いて驚いた表情になった。
それを見た凰香は夕立にスプーンを渡す。夕立はスプーンを受け取ると、がっつくようにストロベリーパフェを食べ始めた。それだけストロベリーパフェが美味しかったのだろう。
「あらあら」
それを見ていた防空棲姫が笑い、時雨と榛名も微笑みながら夕立を見る。三人に見られていることに気がついた夕立は口にアイスを付けたまま恥ずかしそうに顔を赤くさせた。
そんな微笑ましい一時を過ごした後、凰香達は旧泊地へと帰っていった。
………
……
…
凰香達が佐世保市から旧泊地へと戻ってくる頃にはすでに日は傾き、夜になろうとしていた。
「凰香さん、今日は何から何までありがとうございました」
出撃ゲートから食堂へ向かっている途中、榛名がそう言ってくる。
凰香は歩きながら言った。
「別に気にしなくていいわ。これからは榛名達にも街に行ってもらうからね」
「はい、わかりました!」
凰香の言葉を聞いた夕立が珍しく元気よく答える。どうやらストロベリーパフェを食べて少し明るさを取り戻したらしい。
だが次の瞬間、凰香は食堂へと向かう足をピタリと止めて立ち止まった。それにつられて時雨、榛名、夕立もその場で立ち止まる。
「凰香さん、どうかしましたか?」
榛名が首を傾げて聞いてくる。
凰香は榛名の言葉に答えるようにつぶやいた。
「………誰かいる」
「……うん、僕も見えたよ」
凰香がそう言うと、時雨も視線を鋭くして言った。
榛名と夕立には見えていないようだが、執務室や食堂などがある建物の扉の前に二人の人影があるのだ。一人は白い軍服に身を包んだ黒髪のポニーテールの女性で、もう一人は茶髪のショートカ
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