第54話『リザルト』
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「何で…!?」
晴登は目の前の光景に唖然とするしかない。もしかすると、ここはまだ異世界なのかも。そうでなければ、どうして異世界の住人であるユヅキが、晴登の部屋に居るのだろうか。
「いや、わかってる。これは夢オチだ。お約束だもんな、こういうの。ほら見ろ、ユヅキのほっぺただってこんなに柔らかくて・・・え?」プニプニ
夢の中では、色覚や感覚が働かないと聞いたことがある。
だから痛覚なんて感じる訳もなく、頬をつねって夢かどうか確かめる行為は理にかなっていると言えよう。
で、この場合は、柔らかいという触覚が反応しているため、夢とは言い難い。
「じゃあこれ現実!?」
つまり、晴登はその事実に気づく。
ユヅキは夢の中の存在ではなく、今この現実に実体を置いているのだ。理解はできるが、どうにも実感がわかない。
「どうする? 起こすべきか…?」
そこは実に悩みどころ。現実世界に引っ張られてきた際に何かしらのハンデを背負う──能力とか人格とか記憶を失うのは、マンガでは割とあったりなかったりする。特に最後を失われてしまうと、正直精神的にキツいものがある。
「お…おい、ユヅキ。起きろ」ユサユサ
しかし、結局は起こさざるを得ない状況である。今日は学校なので、時間が無いといえば無いし。
「う、んん……ん? あれ、ここどこ…?」
「起きたか、ユヅキ!」
「ん、ハルト…? おはよ・・・う!? え、何で!?」
起きたかと思えば、ユヅキはすぐに眠気から覚醒し、状況を訊いてきた。晴登自身も全く同じことを問いたい。
だが、まずは落ち着かせることが優先である。
「いいか、ユヅキ。落ち着いて聞けよ。実はな・・・」
「・・・不思議な話だね」
「不思議ってレベルじゃない気がするが…」
状況を把握できたのか、納得したように頷くユヅキ。こうも易々と理解されたのも、事前にこの現実世界の事を話しておいたからだろう。ありがとう、あの時の俺。
「それで、ここがハルトの部屋ってこと?」
「そうだね」
「へー見たことない物ばっか…」
キョロキョロと部屋を見渡し、ユヅキは驚きの声を上げる。これも予想通りといえば予想通りだ。
異世界にも似た物は有ると思うのだが、ユヅキの目には新しかったらしい。
「それで、ハルトにはボクがこっちの世界に来た理由はわからないの?」
「明確にはわからないけど、強いて言うなら『近くに居たから』かもしれない…」
「そっか……」
晴登の答えを聞いて、ユヅキは難しい表情を見せる。今のやり取りで何を考えているのだろうか。もしかしたら、無理やり
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