第54話『リザルト』
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何故にそんな無理のある嘘を!?」
「ボクはハルトのお嫁さんなら、なっても良いかなって…」
「そういう問題じゃなくて! というか恥ずかしいから止めて!」
コソコソ話は何処へ行ったのか。晴登のパニックは、もはやお祭り状態。
と同時に、今日の部長の発言の意図が理解できた。
要は、ユヅキが晴登を好いていて、離れたくないがために異世界に帰らない、ということだろう。
今の会話で、その可能性は有り得ると裏付けできる。
「うぅ、本題に入らせてくれ…。智乃、ちょっと部屋出てくれない?」
「大事な話?」
「そうだ」
「大事な…話…」ゴクリ
「お前の反応に違和感しか感じないけど、無視しといてやるから早く出てくれ」
「はーい」ガチャッ
智乃が部屋を出たのを確認し、晴登は本題である重大な選択をユヅキに課すことにする。
ずばり、『異世界に帰る』か、『この世界に留まる』かだ。
「――もちろん後者」
「即決!?」
その選択を話すや否や、ユヅキは答えを決めた。用意していたのでは、と疑うぐらいの早さで。
「結構重大な事だよ!?」
「ハルトと一緒に居れればそれで良いし、それにラグナさん達にはお別れ言ったからね」
「え…?」
・・・今、何と?
寝耳に水だ。ユヅキはこんな事態になるなんて予想していなかったはず。それなのに何故・・・?
「今回の王都の事件はボクが原因だからね。そのせめてもの償いのつもりだったんだ」
「俺と一緒にこの世界に来なかったとしたら、一人で何処かへ行く気だったってことか…?」
「…うん」
衝撃の告白に、開いた口が塞がらない。この場合、奇跡に感謝、とでも言うべきなのか。
「だからボクは、ハルトとまた居られるようになって本当に嬉しい。これからはずっと一緒だよ!」
ユヅキは晴れやかな笑顔を見せた。晴登は照れ臭くて、つい目を逸らす。
自分は本心で、この状況をどう思っているのだろうか。・・・いや、きっと『嬉しい』と思っているのだろう。甘い考えだ。
「――あ、そうだハルト。ハルトがいない間に本を読んでたけどさ、全く字が読めないの。教えてくれる?」
「…え? あぁ、そりゃもちろん」
部屋にある本といえば、マンガしかない。とはいえ、マンガも日本語が理解できなければ読むことはできない。早急に教える必要がある。
「あっとそうだ。暁君が、戸籍がどうたらとか言ってたな…。どうしたものか・・・」
ユヅキの滞在が決定した。新しい家を見つけるのかは不明だが、少なくともしばらくはこの家に居候するだろう。
となると、家族への説明などは避
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