第54話『リザルト』
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お前は本当にそれで良いのか?」
「どういう事ですか…?」
部長の真剣な眼差しに、思わず狼狽える。
一体何が気になるのだろうか。ここまで部長が本気な様子は珍しい気がする。
「お前がユヅキと離れたいのかどうか、って話だ」
「……正直、離れたくはないです。でも、ユヅキにはこれが一番かなって・・・」
「―――そこも気になるな。お前、一度でもユヅキに意見を仰いだか? よもや、一人で決めようなんてことはしてないだろうな?」
「っ…!!」
そういえば、部長に意見を訊こうとはしたが、ユヅキには訊いてなかった。一人で話を進めて、当の本人を置いてけぼり。
本人がやりたいようにさせる。その心が足りなかった。
「訊いて……ないですね」
「ほれ見ろ。もしかすると、ユヅキは残りたいかもしれんぞ?」
「何でですか?」
「……おい、辻。お前コイツの話聞いてわかるよな?」コソコソ
「そりゃあアンタみたいに鈍感じゃないからね。でも、この場合は三浦が鈍感だわ」コソコソ
「…??」
急に部長と副部長がコソコソし出す。何か変なことでも言っただろうか?
……いや、全く見当もつかない。
「……ゴホン。とりあえずだ、三浦! お前はまず本人の意見を尊重しろ! 話はそれからだ!」
「は、はい!」
なんか無理やり締められちゃった感あるけど・・・部長が正しいな。
ひとまず、話が終わったから教室に戻るとしよう。
* * * * * * * * * *
「はぁー…」
「どうした三浦? ため息なんか吐いて」
「あぁ暁君。いやさ、中々大変な状況でさ……」
「俺で良かったら聞くぞ?」
「ありがとう。カクカクシカジカでね・・・」
「そんなファンタジーみたいな事が有り得んのかよ。にわかに信じ難いな」
「でもあったんだよ」
「別に疑いはしねぇよ。でも確かに、異世界に帰すかどうかは賛否両論だな」
肩をすくめて、お手上げとでも言いたげな伸太郎。無理もないだろう。
やはり、本人に訊くのが最善のようだ。
「あ、でも、もし残るって言われたらどうすんだ?」
「え、あぁ……考えてなかった」
「もし残るってなると、住む場所は勿論だし、戸籍とかもどうにかしなきゃいけないぞ」
「うわぁ……」
よく考えたら、帰らないってなった時はユヅキをこの世界に合わせる必要がある。晴登が異世界の言葉が読めなかったように、ユヅキもきっと日本語がわからないはずだから言語を教える必要もあるし、法律とかの教養も教えなくてはいけない。大変極まりない事だ。
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