数ヶ月後のある日
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「暑い……。」
「そうですわね…お姉様…。」
木々に止まっている蝉が鳴き、頬を掠める風は夏の季節のせいか太陽の熱で温められ、蒸し暑かった。
「はぁ……」
「お姉様、どうされたんですの?」
黒子が私のため息に反応し、顔を覗かせた。
「ううん、何でもないわ。」
私は先程買っていた飲み物を取り、キャップを回しながら言った。
こんな暑い日は水分を取らなければ熱中症になってしまう。
「お兄様ですわね。」
「ぶっ……!」
私は予想外の言葉が黒子の口から出たため、飲んでいた飲み物を吹きそうになった。
「な、なんで湊が出てくるのよ…!」
黒子はふふと笑いながら、私の方に視線を向ける。
「お姉様が暗い顔をされている時は、大体がお兄様の事ですわ。」
「意味わかんないわよ。」
私は冷静に装いながら、飲み物を飲む。
空虚爆発事件から数ヶ月たった今、湊からの連絡は途絶えていた。
感謝の言葉を伝えようと何度か携帯に電話をかけたが、一向に出ず気づけば夏休みとなっていた。
──あのバカ、いったいどこで何してるのよ……
湊本人の目の前ではツンときつく当たるが、本当はすごく心配している。
どんな時でも、どんなに冷たい当たり方をしていても「助けて」の一言で守ってくれる兄。
でも、兄は自分(美琴)を他人を頼ろうとしない。
全て1人でが抱え、終わらせようとする。
私はそんな兄……湊に密かに尊敬を抱きながらも悔しい思いをずっとしていた。
あの日、あの事件で距離を置いてしまってからも、私のその気持ちだけは変わらない。
「ほんと……何やってんのかしら。」
「お兄様……どこへ行かれたんでしょう。」
私の呟きに反応し、黒子も心配の声を出す。
「どうせ、またふらっと出てきそうだけど。」
「お姉様……。」
「だって、考えてもみなさいよ。つい最近よ?私の前にまた出てきたの。」
そう、湊は兄は数年前に姿を消した。
私の前から、家族の前から何事も言わずにいなくなった。
それが今年になってふらっと目の前に現れた。
背が伸びて、更にかっこよくなって戻ってきた兄。
最初はどうして消えたか問いただそうと、ずっと話しかけていた。
だが、それもすぐに終わった。
なぜなら、私が兄を嫌った理由を思い出したから。
そして何よりも、湊が変わってしまったから。
湊はあの時……。
『お前には関係ないだろ、じゃあな。』
この時、気づいてしまった。
兄に頼って欲しくて、同じ景色を見たくて強くなって横に立てるようにLevel5になろうと努力した。
目の前から消えた理由を知りたくて、強くなれ
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