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風魔の小次郎 風魔血風録
104部分:第十話 小次郎と姫子その二
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、と左手で叩いて笑顔で言ってみせる。
「何でもな」
「何でもですか」
「この小次郎様嘘はつかねえ」
 啖呵さえ切ってみせる。
「何があろうともな」
「そうですか。じゃあ」
「それで何なんだよ。あのおっかねえデカ女にも言えないことなのかよ」
「一つはそうです」
「一つは、か」
「はい」
 まずは頷いてみせる。だがやはりその顔は暗いものだ。
「まずは学校のことで」
「それならあのデカ女でもいけるよな」
「蘭子さんには感謝しています」
 やはり彼女にとっては蘭子はかけがえのないものである。それがよくわかっていた。
「いつも側にいて助けて頂いて」
「あいつ姫ちゃんが何よりも大事だからな」
「幼い頃からでした」
 二人の関係はその頃からのものである。まだ赤子の頃から常に一緒だったのだ。
「いつも気付けば横にいて護って下さっていて」
「料理だって作れるしな」
「家事も何でもできますし」
「そうそう、あれで案外大和撫子なんだよあいつ」
 小次郎もそれは認める。
「洗濯だって掃除だってな。しっかりしてるしよ」
「学校のことでも。至らない私をサポートしてくれて」
「じゃあ何も問題ないじゃねえか」
 小次郎はここまで話を聞いて述べた。
「全然。それでどうしてそんなに悩んでるんだよ」
「私は総長代理です」
 自分のことを語る姫子であった。
「総長代理でしかないです」
「それが?」
 今の言葉は小次郎にはわからないものだった。話を聞いても首を傾げるだけだった。
「どうしたっていうんだよ」
「総長は御爺様です」
 次に言うのはこのことだった。
「ですから私は」
「何かよくわからねえな」
 小次郎は話を聞いても首を傾げるだけであった。
「けれどまあ」
「それでですね」
 姫子は小次郎が言うより先にまた言ってきた。

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