第三話 都へその二
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「大きさはあそこまでにないにしても」
「大きなろうと思うたらなれるで」
「普通はこの大きさやけどな」
「この大きさが丁度ええから普段はこの大きさやけどな」
「伸縮自在や」
「そこも凄いな、それで僕の乗りものは」
「おお、ご主人来たか」
中里の声に応えてだ、周りを見回す彼に正面から声がかけられてきた。中里がその正面に顔をやると。
そこにやはり馬程の大きさの獣がいた、身体は虎で脚は狸、顔は猿で尾は蛇だ。この獣は何かというと。
「鵺か」
「そやで」
鵺は男の声で彼に応えた。
「ご主人の神具の一つにして乗りもの、仲良くやっていこうな」
「ああ、それで自分も空飛べるんやな」
「あと姿消したりも出来るで」
「そうしたことも出来るんか」
「そやねん、狐はんが幻術やら使えるのに対してな」
「自分がは姿消したりか」
「あと夜でも普通に何でも見える」
そうした能力も持っているというのだ。
「はっきり言って役に立つで」
「自分で言うかい、しかしや」
「ああ、これからやな」
「お互い頼むな」
「そういうことでな」
「宜しくな」
「ほな今から都に戻るで」
芥川は中里と鵺のやり取りが終わったのを見てまた声をかけた。
「ええな」
「ああ、それぞれの乗りものに乗ってやな」
「鞍を着けてや」
それは忘れなかった、見れば狐と鵺の背にはもうあった。鐙もだ。
「手綱はいらんけどな」
「そっちはか」
「鞍と鐙はしっかり乗れるからや、けれど神具から落ちることはないしちゃんとこっちの考えを受けて動いてくれる」
「そやから手綱はか」
「いらんねん」
神具に乗る際にはというのだ。
「そこは馬に乗るのとちゃう」
「そうか、神具から落ちることはないか」
「ああ、ない」92
断言での返事だった。
「そやから安心せえ」
「空を飛んでてやな」
「それはない、存分に戦えるで」
「それもええこっちゃな」
「そやろ、しかも進む速さも距離も半端やない」
「一日千里とかか?」
三国志の赤兎馬をだ、中里は例えに出した。
「そんなのか」
「もっとやろな」
「千里で効かんか」
「空からの偵察にも使えるしな、そんなんやから」
「しかも空飛ぶしか」
「察しええな、空を飛ぶと一気にや」
それこそというのだ。
「それで千里以上ってなるとな」
「一気にやな」
「何処でも行けるで」
それこそというのだ。
「すぐに」
「それで都にもやな」
「着くで」
「何か凄いな」
「凄いのは確かやけどな」
「そうした世界やねんな」
「そや」
そうなるとだ、芥川は中里にまた言った。
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