102部分:第九話 夜叉の窮地その十二
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第九話 夜叉の窮地その十二
「考えていることだと」
「姫様、以前の御命令ですが」
「はい」
陽炎の言葉に対して答える。
「私は聖剣及び近頃近辺をうろついている怪しい者達の調査を命じられましたが」
「あれですね」
「そうです、それに専念したいのです」
こう述べるのだった。
「それで宜しいでしょうか」
「聖剣とあの銀色の髪と目を持つ男達ですか」
「そうです。少し調べたことですが」
「何かわかりましたか」
「どうやら。聖剣とあの者達には何らかの関係があるようなのです」
「関係がですか」
「それもありまして」
陽炎は言うのだった。
「調べておきたいのです。宜しいでしょうか」
「わかりました」
夜叉姫は陽炎のその言葉をよしとしたのだった。
「では陽炎。それを調べていきなさい」
「有り難き御言葉」
「確かにあの者達は気になります」
夜叉姫も彼等に対しては危険なものを感じていた。まだ存在を噂されているだけであるというのにだ。これは夜叉姫の直感だった。
「陽炎、ここは調査に専念しなさい。いいですね」
「わかりました」
「暫く。この誠士館の護りは貴方達だけになりますが」
「八将軍の復帰以降です」
武蔵が言ってきた。
「こちらとしても動くのは」
「では武蔵、今は」
「はい」
武蔵は夜叉姫に対して答える。
「護りに徹するつもりです」
「壬生と二人でですね」
「お任せ下さい。風魔の者達を一人たりとも近づけさせません」
「果たしてできるかな」
しかし今の武蔵の言葉には陽炎の冷ややかな声が浴びせかけられたのだった。
「風魔は項羽まで戻り全員揃った。それで俺もいないのに二人だけで大丈夫なのか」
「私には黄金剣があるが」
「それはわかっている。俺が言っているのはだ」
やはり彼は武蔵に顔を向けていた。
「武蔵、貴様はどうなのだ」
「俺を疑うというのか?」
「言っておくが夜叉は傭兵と言えど裏切り者には容赦しない」
陽炎の言葉と目が鋭いものになる。
「もっとも夜叉が裏切り者を出したことは今までないのだがな」
「一つ言っておく。俺は報酬の分だけは働く」
武蔵も意地があったのか目が鋭くなっていた。
「ここに来た時に言った筈だ」
「ふむ。では見せてもらおう」
それを聞いても陽炎の剣呑な言葉は続く。
「貴様のその実力をな」
「手負いの獅子はこれまで以上の力を出す」
その言葉を出したその瞬間だった。武蔵の量目が金色に光った。
「むっ!?」
「今の目は」
「風魔の者達がどれだけ来ようと俺がいる限りこの誠士館に入ることは許さん」
武蔵の全身から何かが発せられた。それにより異変が起こった。
部屋に嵐が起こりそれでガラスが割れた。全て割れ衝撃波が通り抜けたのだ
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