暁 〜小説投稿サイト〜
レインボークラウン
第四百二十一話

[8]前話 [2]次話
            第四百二十一話  素直に飲むと
 梨花は妹と話をしてから牛乳を飲んでみてその美味しさに驚いて言った。
「あっ、これは」
「どうしたの?」
「いえ、美味しくて」
 こう妹に言ったのだ。
「それで驚いたの」
「そんなに美味しいの?」
「ええ、これまで飲んでいた以上にね」
 そうだというのだ。
「美味しいわ」
「そう?」
 利奈は飲んでから姉に応えた。
「私はいつも通りにね」
「そう思うのね」
「うん、特にこれ」
「変わらないのね」
「そうだけれど」
「何かね」
 梨花はまた言った。
「私は違ったのよ」
「美味しいって思ったの」
「それで今もね」
 また一口飲んでみた、するとまただった。牛乳をこれまで以上に美味しく感じた。そのうえでまた妹に言った。
「美味しく思うわ」
「そうなの」
「何か違った感じよ」
「これまでとは」
「そうだけれど」
「何か変わったのかしら」
「吹っ切れた感じなの」
 飲んでみた感じはというのだ。
「何かね」
「吹っ切れたのね」
「そんな感じなの」
「そうなのね」
「わからない?」
「御免、何かね」
 どうしてもとだ、利奈は姉に答えた。
「お姉ちゃんが言うことは」
「そうなの、まあ私もね」
 かく言う梨花自身もだった。
「言っててね」
「わからないのね」
「そんな感じがするだけで」
「そうなの」
「ええ、けれどね」
「美味しいのね」
「そうなの」
 こう言って飲むのだった、その美味しくなった牛乳を。


第四百二十一話   完


                      2017・2・16
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ