氷の狙撃手
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内心、自分の愚かさに呆れながらも弦を引く。
弓でモンスターを倒すが、近距離戦で弓が叶うはずもなく確実に私のHPが減っていく。
そして、緑だったHPも黄色に変わり背後からの攻撃をよけれず遂に赤色になってしまった。
──最後ぐらい笑いたかった…。
私は先程の自分の行動に後悔した。
次の瞬間、目の前まで迫っていたモンスターがポリゴンへと姿を変えた。
「え……?」
予想していなかった事が起き、私はキリトとアスナなのかと思い二人の姿を探した。
だが、視界に移ったのはキリトでもアスナでもなく………。
「大丈夫!?」
「あ、明煌……?」
真っ黒なコートに白のマフラーを装備し、コートと同じ色の片手剣を握って、倒れかけていた私の身体を支えていたのはアキだった。
「これ、すぐに飲むんだ!あと俺の後ろに隠れてろ!」
私はポーションを受け取り、頷いてアキの後ろに隠れる。
「仲間をこんな目に合わせたんだ、殺してやる。」
──仲間……?私が?
アキの言葉に戸惑いながら、目の前の光景に圧巻した。
肉眼では追いつけない"閃光"と呼ばれるアスナより
す素早い剣技で切りつけ、"黒の剣士"と呼ばれるキリトに勝るほどの反応速度でモンスターの攻撃を受け流す。
リアルでも剣術を習っていたアキだからこそ出来る剣技なのかもしれないが、私はただ見ている事しか出来なかった。
周りを囲んでいたモンスターは全てポリゴンへと姿を変え、アキは左手に握る剣を鞘に戻した。
「ふぅ……大丈夫?」
「え、えぇ……ありがとう。」
「その……。」
アキは何か言おうとしているのか、私に向き直ってゆっくり話した。
「さっきはごめん、君に酷いことを言った……。」
「あ……私こそ取り乱してごめんなさい…」
「こんな事、俺が言える資格は無いんだけど教えてくれないか…?」
「え?」
私は予想外な事が連続でおきて、思考が追いつかない。
「俺、小さい頃の記憶が曖昧なんだ。色々あって人との関わりも断っててさ……。」
──本当に……記憶が混ざってるのね……。
私はある人から聞いた話を思い出した。
『今のあの子は、色んなことがあり過ぎて記憶がごちゃごちゃになってるの。だから、詩乃ちゃんの事も……。』
──だからと言って、私が教える事を断るなんてする訳ないじゃない。
だから、私は初めてあった時のように笑って答えた。
「えぇ、もちろんよアキ。」
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