氷の狙撃手
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ったのだ。
このゲームにいるという確証は正直無かったが、顔を見た瞬間に「あぁ…明煌だ」と感じたのは確か。
赤髪に綺麗な赤色の瞳を持ち、大人びたような雰囲気を漂わせつつも、どこか幼さを残す1つ歳上の少年。
──分かってたじゃない、今の明煌は昔の記憶が無い事は………。
それでも、分かっていてもいざ目の前で自分の事が分からないと言われると悲しかった。
「私…約束を破ってばかりね…。」
小さい頃にした約束。
彼の過去の悲しみと罪を一緒に背負うと約束した。
──それなのに、私はいつも貴方に守ってばかり…。
がむしゃらに走り続けた結果、フィールドの奥まで来てしまい気づけば周りにはポップしたモンスターに囲まれていた。
──そういえば同じような状況に前もなったわね…。
確かあの時は…私は思い返していた。
あれは、デスゲームが始まり恐怖心と明煌を探さなければという焦りでHPなど気にせずひたすらダンジョンに行き、短剣を振り続けていた時。
何も食べず睡眠もとらず、ポーションすら1、2個しか持たずに予備の短剣だけを持っていつ死ぬか分からない状況だった。
そんな時だった、あまりの空腹と睡眠不足のせいか集中力が切れトラップに引っかかった。
「くっ…!」
トラップが作動したことにより、ポップしてくるモンスターの数が10を超えていく。
気づけば、モンスターに囲まれ攻撃されHPは赤色まで下がっていた。
──私ここで死ぬのかしら…。
明煌に何も出来ないまま……ううん、私がいても何も出来ないわね。
私は覚悟を決めて目を瞑った。
だが、いくら待っても攻撃は来ない。
変わりに知らない人の声が聞こえた。
「だめー!」
「やめろー!」
真っ白な装備に茶色の綺麗なロングの同い年ぐらいの女の子が細剣で鋭い突きをしていき、隣には先ほどの女の人と反対で真っ黒な装備に黒髪の男の子が剣で切っていく。
あっという間にモンスターはポリゴンへと姿を変え、2人は剣を鞘に戻し私の目線にあうよう女の子はしゃがみ、男の子はウィンドウを開いていた。
「大丈夫?」
「ほら、ポーション飲んどけ。」
私は頷きながら、渡されたポーションを飲む。
これが、キリトとアスナとの出会いだった。
それからは2人に溜め込んでいた思いを話した。
2人は真剣に話を聞いてくれて、更には手伝いたいと言ってくれた。
そうして私は2人が設立したギルド、月夜旅人団に入団し『射撃』というユニークスキルを習得して、いつの間にか『氷の狙撃手』と呼ばれた。
そして、今はその時と似たような状況だった。
──ほんと…私も懲りないわね…
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