暁 〜小説投稿サイト〜
フロンティアを駆け抜けて
甘美なる毒、閉じた心の殻
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化していると思えるほどの同調した動きだった。

「メタグロス、『コメットパンチ』!」

 メタグロスの腕がダイバを追いかけるのに夢中になっていたウツボットの体を殴る。蔦ごと吹き飛ばすどころかあまりの衝撃に蔦を根元から引きちぎり、戦闘不能にした。腕の一本に乗ったままダイバがジェムの横まで来る。

「すごい、まるでダイバ君が自分でメタグロスの腕を操ってるみたい……!」
「メタグロスは僕の手足と同じなんだから、当然だよ。……こんな時のために靴には鉄を仕込んでるし」
「電磁力によって靴とメタグロスの体をくっつけたというわけですか……金持ちらしいやり方ですね、反吐が出るのです」

 アルカの声に強い苛立ちが混じる。一瞬ドヒドイデの殻が開いたかと思うとそこからモンスターボールが転がり出てきた。中から黒の体にピンク色の燃えるような模様が体についたポケモン、エンニュートが出てくる。

「ですが、教えてあげますよ。優秀で強くて恵まれたあなた達も、結局は醜く本能のままに動くしかない生き物だということを……やりなさいリジア!」
「どくどく〜!!」
「ラティ、もう一度『神秘の守り』!!」
「メタグロス、一旦こっちへ」

 エンニュートが口からピンク色の霧の様な毒をばら撒く。あまりの色の濃さに周囲が見えなくなるほどだった。メガメタグロスが不意打ちに備えダイバとジェム、ラティアスを守る盾となるように位置を取る。ジェムは念のため毒を防ぐ守りを重ね、その効果を確かに発揮する。それでも、刺激的ですらある甘い香りがジェムの鼻をくすぐり、体の中に入っていく。

「これで毒は防げるはず……なのに、この香り……怖い」
「怖い……?ただ甘ったるいだけでしょ」
「……無駄ですよ、『神秘の守り』はあくまで人やポケモンに害を与える異常を防ぐもの。リジアの毒はとーっても気持ちよくなれて傷つきもしませんから……さあ、お前も私の様に醜く心を蝕まれてしまうのです! ふふふ、あはははははは!!」

 濛々と立ち込めるむせ返るほど濃いガスの中に、アルカの声が響く。そこに込められた恐ろしく甘い毒が、二人に襲い掛かる──

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