甘美なる毒、閉じた心の殻
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た。腕を締め上げるだけでなく体の血を抜き取られるかのような痛い身に思わず悲鳴をあげる。
「あぐっ……きゃあああああっ!!」
「『バレットパンチ』!」
もがくが蔦はびくりとも離れず、食虫植物のようにジェムの身体にあるエネルギーを奪い去っていく。ダイバが指示を出し、高速の拳が無理やり蔦を引きちぎった。ジェムに巻き付く蔦の光が消える。それでも残る痛みはひどく、ラティアスが急いで『癒しの波動』を使いジェムの傷を癒していく。を治してもらったジェムはそっと腕に巻き付いた蔦を剥がす。それでもまだ、痛みで力が抜けて腕がだらんと下がり、肌を浅く切り裂いた分の血が手のひらを濡らした。上の階へつながる出口にぶら下がったウツボットがジェムたちに向けて蔦を放ったと分かる。
「うう……入ってきてすぐ、狙うなんて」
「ふふふ……いい気味です。ペンテスの蔦は痛むでしょう? その苦痛に歪む顔を見れないのが残念なのですよ」
声の主は桃色の長いくせっけを無理やり二つにまとめ、ぼろきれのような布で体を隠した少女、アルカ……のはずなのだが、彼女の姿は見えない。その声は半径一メートルほどのドームのような水色の殻の中から聞こえた。ついている棘がわずかに動いているのを見ると、これもポケモンだろう。
「あの殻は?」
「ドヒドイデ。ヒトデナシポケモン……今みたいな卑怯な手を使う人にはお似合いのポケモンだよ」
「またそんなこと言う……アルカさん、そこにいるの!?」
ジェムが呼びかける。アルカの背格好はジェムより少し大きい140pほどだ。あの殻の中に入ることは可能だが身をかがめるなりする必要がある。そこまでして中に入る理由がジェムにはわからなかった。
「当然なのです。バトルする前に『サイコキネシス』で捻り殺されては堪りませんからね」
「私たちは、そんなことしないわ」
殻の中から聞こえる声に驚く。サイコキネシスで人間に直接攻撃するなどとんでもないことだ。今まで考えたこともなかったことを、アルカは平然と、それが当たり前だと言わんばかりに口にする。昨夜と同じ、ジェムに対する嫌悪と怒りを隠さない声に今与えられた痛みも相まってジェムは怖気づきそうになるが、ドラコの怯むな、あいつの言葉は本気であっても本意ではないという言葉を支えに必死で話しかける。
「信用できません。……どのみち、あなた達が倒れるまでここから出る気はありませんから」
「倒れるまで? 死ぬまでの間違いじゃないの」
「ちょっとダイバ君、何を根拠に……」
「殺されるのを警戒するのは、殺す気があるからだよ。……さっきのでわかるでしょ」
途中で割って入るダイバがジェムの腕を指さす。メタグロスが蔦を千切ってくれなかったらどうなっていたのだろう、あまり
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