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虚弱ゲーマーと似非弁護士の物語 −求めたのは力では無く−
Act3 帰還
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いた所で士郎と出会ったのでした。
 2人は最初こそ警戒していましたが、お互いの研究の足らない所が埋められると意気投合して行きました。
 ですが、話を進めて行く内に幾つかの問題が発生して行きました。その中でも一番の問題は資金です。
 2人の目指す医療機器を製作するにあたり、資金が圧倒的に足りません。
 そこに、2人だけの秘密だった筈の計画を何所から聞きつけたのか、自称足長おじ様のファブリスさん(偽名も自称)が出資すると唐突に表れて名乗り上げたのです。
 これに2人は勿論警戒心を露わにしたが、さらには制作するにあたるラボの提供までしてくれるので、警戒心を維持したまま受け取ることにしたのです。
 そして約八ヶ月前に完成したのが布都御魂(ふつのみたま)です。
 投影宝具の布都御魂の概念を利用できないかと言う長年の研究の末、士郎が完成させた医療機器です。
 この布都御魂は現段階で、病気の進行を遅らせるもの等の不治の病を失くす目的として作られたもので、長年闘病生活を強いられている患者たちの希望の星なのです。
 その希望の星の臨床試験の被験者である患者の紺野藍子の無菌室前に、2人は到着しました。

 「まだ安心は出来ないので今も直、無菌室のままですが、このまま順調にいけば年内までには出られるかもしれません」
 「そう・・・ですか」

 倉橋医師の言葉に士郎は安堵しながらも、何処か悔しげにしていた。
 それを倉橋医師は、何時も(・・・)の様に言う。

 「衛宮君。何度も言うようですが、紺野君達の御両親を助けられなかったのは君のせいではありません。私達はデウス・エクス・マキナでは無いのです。人の身では助けられる数には限度があるのですよ?君は本当に優しい人間性と知っていますが、行き過ぎた優しさと責任感は時に傲慢と言われても仕方ないですよ」
 「分かっては・・・・・・いるつもりです」

 倉橋医師の言葉に痛々しい感じに返事をする士郎。
 その反応も今や毎度の事の様で、これに内心で溜息をしながら話を切り替える倉橋医師。

 「そう言えば布都御魂の二号機がロールアウト間近だと、ファブリスさんから聞いたのですが」
 「ええ。来月の上旬中には納入できる予定です」
 「では予定通り、次は木綿季君と言う事でいいんですね?」
 「勿論構いませんが、先生の独自の判断で大丈夫なんですか?」
 「はい。2人の治療についての判断は、生前のご両親から遺言にて頼まれていますから大丈夫ですよ――――って!?」

 そこでまた士郎が落ち込んでいることに気付いた倉橋医師は、話をどの様に完全に切り替えるか、それなりに苦労したそうだ。

 それから約二ヶ月後の年を開けた月の中旬から下旬の境、物語が加速度的に進むのだった。
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