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虚弱ゲーマーと似非弁護士の物語 −求めたのは力では無く−
Act3 帰還
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男性を見ている士郎から、話を切り替えます。

 「それで本題は何です?」
 「ふむ、そうだネ。貸し切りと言う訳でもないし、用件を言おう」

 所持してきた鞄から、数冊の書類を士郎に渡します。
 士郎は受け取った書類に早速目を通すと同時に、話を耳に入れます。

 「SAOはクリアされたとの事だが、死んでいる訳でもないが目を覚ましていない者がいると言うのは知っていると思う」
 「ええ。それについてもまだ連日ニュースになってますからね」

 言う通り、連日ニュースで報道されている周知の事実です。
 ただ日本人は飽きやすく、その規模も既に減少しているが。
 士郎がその事実を知っていることを確認して説明が続きます。

 「その未帰還者達に関わっているのが電子機器の大手、レクトの子会社であり、ALOを運営しているレクト・プログレスの可能性が出て来たのだヨ」

 衝撃的な発言である。爆弾投下にも程がありました。
 しかし士郎は驚く事もせず、書類の文章をざっと速読し終えてから目を放す。

 「――――貴方の情報網の広さと凄さは以前から知ってますので、その可能性とやらに疑いを持つ気はありません。ですが、何所からの伝手なんです?その一歩間違えれば即逮捕されそうなソースを何所で入手したんですか?」
 「企業機密だネ」
 「いくら知り合いでも、犯罪の片棒を担ぐのはごめんですよ?」
 「グレーンゾーンさ、グレーンゾーン!それで話の続きなのだが、情報を得たはいいが、信用できない者にこれ以上の調査は頼めなくてネ。だが君ならば話は別だ」
 「私は弁護士であって、探偵では無いんですが・・・」
 「無論、重々承知しているさ」

 表情を一切変える事無く答えて来る目の前の初老の男性に、士郎は内心でいけしゃあしゃあと思いました。
 勿論自分の心の淵を読ませないために、士郎も微塵たりとも表情を変えずに。

 「・・・・・・・・・分かりました。この件については私も気に掛けていましたし、本業の合間でよければ引き受けますよ。貴方には医療機器の作成で、ラボを貸し与えてくれた事から出資と口利きまで、実に多くの面でお世話になりましたからね」
 「あの件は将来的に見ても十分勝算があると判断してのことだから、気にする必要はないのだが、それで君が引き受けてくれるのなら、中々得したと思えるかな」

 依頼を引き受けると承諾してくれた士郎に、男性は調査するに必要な物を事前に揃えた道具が入れてある鞄を丸ごと渡しました。

 「調査に必要な道具から実費分まですべて入っているから、有効に活用してくれ給え」

 言いたい事を言い終えた初老の男性は、ご馳走様と言うと同時に席から立ち上がり出口に向かいます。

 「では衛宮君。あとヨロ〜」

 最後の最
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