暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
one for one
[2/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ている。

「依頼は依頼なんスから、きちんとしなきゃいけないッスよぉ。そこは社会人として、しっかりしてくださいッス」

大仰な身振り手振りは潜在的に人を動かすことに慣れている者の動きだ。その手の動きを追っていた視線とぶつかると、金髪スプリガンはにっこりとほほ笑んだ。それも、公園ですれ違うお隣さんに向けるような類ではない。殺虫剤をブッかけられてもがく虫けらに向けるような、危険で昏い笑みだ。

逃げ出そうという心の動きを見透かすようなその嘲笑に、結果的に全ての動きが射止められてしまう。

だが、逃げるのを中断したのは、それだけが理由ではない。

表層に出てきたのは彼らだけではなかったということだ。もともと在ったモノがベールを脱いだように、気が付けばあちこちから気配。突き刺さるような視線。

そして、気が付いた頃にはもう遅い。

そう知覚してしまった以上、ロベリアはもう振り返られなくなっていた。理屈ではなく本能が、まるで赤ん坊がイヤイヤをするように、これ以上の劣勢を認識したくなくなったのだ。

初めはポツポツと。が、次第にざわざわと。

風はない。にもかかわらず、森の木々が風で揺れるような、足元の地面を大量の蟲が這っているような、奇怪な感覚が少女の耳に近い何で知覚する。第六感とも違う、システマチックでロジカルなこの世界にあるまじき例えだが、心霊スポットに行った時に一部の人間だけが感じ取れる耳鳴りや鋭い頭痛に似ているかもしれない。

あるいは、そよとも動かない枝葉の向こう。

あるいは、幾重にも重なる幹のベールの影。

あるいは、ダム穴のように口を開ける洞穴。

一度気になってしまえば、どこにでもこちらを注視する誰かがいるような気がしてくる。

知らず、ロベリアは乾くはずもない唇を桜色の舌で湿らせた。

「そうは言ってもウィルよ。ロベリアの言う事にも一理あるぞ。我はあの者のおかげで書類から長時間逃げれ――――げふんげふん、離れられたのだ」

「一緒ッスよねぇ意味!っつーか、どーにも捕まらないと思ったら現地協力者確保してやがったのかクソッタレ!!」

彼らの口調は一様に軽い。

だが、それと逃げ出せることとは別だ。現にヴォルティスは、大戦斧(ラビュリス)の矛先を下ろしはしたが、柄から手は放していない。

「それに、正義どーこー言うんだったら、もう言質は取れてるっしょ?今回の騒動にコイツが関わってるのは、さっきっからの大声(ひとりごと)で分かってるッス。あとは狩るだけ、スクールに通うガキでもできる簡単なお仕事ッス」

「……なるほど」

ふむ、と男は腕を組み、数瞬だけ考える。

そして、

「それもそうか」

一言だった。

その一言で、少女の命運は決まった。

その
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ