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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十話 マルコム・ワイドボーン
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っさとクッキー食ったら帰れ。
「酷いです、ヴァレシュタイン大佐。何故私を見るんです」
サアヤが口を尖らせて抗議してきた。俺が誰を見ようと俺の勝手だろう。なんだってそんなに過剰に反応するんだ。
「……別に」
宇宙暦 794年 7月25日 ハイネセン 宇宙艦隊司令部 ミハマ・サアヤ
暇です、毎日が暇です。宇宙艦隊司令部に配属されてから暇な日が毎日続いています。私達に仕事はありません、ロボス元帥が“あいつらは居ないものと考えろ”そう言ったそうです。
広い部屋に私とヤン大佐とヴァレンシュタイン大佐の三人、最初は凄く気まずかったです。ヤン大佐も困惑していました。平然としていたのはヴァレンシュタイン大佐だけです。相変わらず無表情で弁護士の勉強をしています。
それでも今回は毎日クッキーを焼いてくれます。同じクッキーが二日続く事はありませんから気を遣ってくれているのでしょう。ヤン大佐も“気を遣っているみたいだね”と言っています。会話は有りませんが穏やかな日が続いています。
最近ではワイドボーン大佐がこの部屋に毎日来ます。クッキーを食べに来るんですが、私の見るところ目的はそれだけではありません。ヴァレンシュタイン大佐に関心が有るようです。
最初にこの部屋に来た時、クッキーを食べた後ワイドボーン大佐はヴァレンシュタイン大佐にシミュレーションをしようと言い出しました。そのときのヴァレンシュタイン大佐の返事は酷いものでした。
“貴官は将来、なんになりたいのです”
“もちろん宇宙艦隊司令長官を経て統合作戦本部長だな”
“シミュレーションに拘るから艦隊司令官かと思いましたよ”
ワイドボーン大佐は憮然としヤン大佐は苦笑、そしてヴァレンシュタイン大佐は面白くもなさそうな表情で勉強をしていました。相変わらず大佐は性格が悪いです。なんであんなに美味しいクッキーが作れるんだろう?
手酷くあしらわれたんです、もう二度とワイドボーン大佐は来ないと思いました。でもそれから大佐は毎日来ます。クッキーを食べた後、何かとヴァレンシュタイン大佐に話しかけてきます。そして素気無くあしらわれてヤン大佐に笑われている。
ワイドボーン大佐が帰った後の私とヴァレンシュタイン大佐の会話です。
“空気を読めない人だ”
“嫌いなんですか? ワイドボーン大佐が”
“……背の高い男に見下ろされるのは嫌いなんです”
その瞬間私とヤン大佐は笑い出し、ヴァレンシュタイン大佐に睨まれました。
「よう、元気か」
ワイドボーン大佐が来ました。ヴァレンシュタイン大佐は関心がないように勉強しています、いつもの事です。私とヤン大佐は顔を見合わせ苦笑しました、これもいつもの事です。
ワイドボーン大佐は段ボール箱を抱えていました
「どうした
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