エピソード3・始まりのオーメン
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他の街に行くみたいだから、その途中で先代ひまわり娘の住んでる場所に寄ってもらう、という話をしたところ、彼は快く引き受けてくれた。
「なんやねん、ドタバタ慌てなくとも良かったんやなぁ」
「むしろ急いで行ってたら、余計時間がかかっていた可能性があるね」
「急いては事を仕損じる、でしょうか?」
「それ、使うタイミングが少し違う気がするで」
「この場合は急がば回れ、が妥当だと思う」
「とにかくこの自動車に乗せてもらえば、先代ひまわり娘さまのところまですぐに行けるんですね?」
「そうだ。試運転も兼ねることになるが、それでも良いのなら送り届けるよ」
「大丈夫です、よろしくお願いします」
ということで早速皆で乗車し、運転席に座った棺桶屋がエンジンをかけたのだが、ここで一つ私は致命的なミスを犯していたことを思い出した。
「ねぇ、ザジさん……」
「どないしたん? 今更キャンセルするわけにはいかへんよ?」
「わかってる……わかってるからこそ、今の内に言っておきたいことがある」
「改まってどうしたんや?」
「最近乗り物見てなかったから忘れてたけど、実は私……乗り物酔いしやすいんだよね……!」
「出発進行!!」
「ちょっ!? それ今言うかぁ!? マジでアカンやろぉ〜!?」
ザジの絶叫が響く中、久しぶりで顔色が真っ青になった私と皆を乗せた自動車は勢いよくサン・ミゲルを飛び出すのだった。……ウップ。
野を超え荒地を超え……やがて私達の乗る車がたどり着いたのは、森の近くにポツンと佇む小ぢんまりとした屋敷だった。ザジは「森の中じゃないから、魔女の隠れ家らしくないかもしれへんな」なんて冗談を言っていたが、魔女だって人間なのだから、食糧とか人付き合いとかで外界と完全に隔絶するわけにはいかないのだろう……。
「はぅ……き、気持ち悪い……」
「よしよし、大丈夫ですか、シャロン? ほら、深呼吸しましょう?」
「乗り物酔いも大変や。にしても、まさか本当に1日も経たずに着くとは、自動車はこれまでの旅の認識を一変しよったわ」
「褒め言葉として受け取っておこう。尤も、シャロンのあの様子を見る限り、上下の揺れをもう少し抑えられるように改良する必要がありそうだ」
「そう簡単に対処できるもんやなさそうやけどね。とにかくここまで送ってくれておおきにな。ところでこの後、棺桶屋はどこ行くん?」
「虹の降る都ビフレストだ。そこは港町だから他では入らない情報も物資もあるだろうし、サン・ミゲルの皆に新鮮な魚でも持って帰ってやろうかと思ってね」
「ビフレスト……まさかここでエレンの故郷の名が出るなんて正直驚いたで」
「確か君の旧友だったね、エ
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